東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評/あらすじ]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

ドラマ

「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」サウスポー ネタバレなし感想レビュー

「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」みんな大好きボクシング映画、であるがゆえに賛否両論だったからどう着地するか心配だったけど「むむむ!」というポイントもありながら、きちんと終わったし以外とよかったよ!お話は主人公がチャンプとして栄…

"深いね。深いでしょ。" 「海よりまだ深く」ネタバレなし感想レビュー

高い評判ほどには物語に乗れず。 「男ってやつはー!男ってやつはこういうところがダメなんだからな!!」と2時間ずっと真木よう子に往復ビンタを食らっているような気分だった。あの目線、彼女は演技関係なく、息子を迎えに来る羽目になったあの無神経なシ…

"幸せは空の上に" 「殿、利息でござる!」ネタバレなし感想レビュー

日本にもノブレスオブリージュ(富めるものの公共奉仕)があったんだ。 評判が良かったので鑑賞。「白ゆき姫殺人事件」「予告犯」の中村義洋監督なので期待して。(この流れで監督が時代劇やるのは意外だと思ったら、松竹発ではなく在仙台テレビ局の40周年記念…

「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」サウスポー ネタバレなし感想レビュー

「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」みんな大好きボクシング映画、であるがゆえに賛否両論だったからどう着地するか心配だったけど「むむむ!」というポイントもありながら、きちんと終わったし以外とよかったよ!お話は主人公がチャンプとして栄…

<傑作、掘り出し物を見つけた!>すれ違いのダイアリーズ ネタバレなし感想レビュー

満点。海外映画で「あーいい映画を観たな」と爽やかな気持ちだけで劇場を出たのは久しぶり。 高い志で面接を受けるも田舎の水上学校に赴任させられた新米教師ソーン。何か変な自己紹介をする生徒たち。不慣れなりに奮闘するも生徒からは何かにつけて「エーン…

<邦画からのアンサー>「太陽」ネタバレなし感想レビュー

<邦画からのアンサー> 近未来、バイオテロによるウィルスが蔓延、人間社会がウィルス耐性を持つものと持たざるものの2つに分かれた世界の対立を描いた傑作舞台劇を映像化。 物語的にはサスペンスかと思ってたので、ドラマ重視の話の畳み方にやや肩透かし。…

<いい大人がマジになりすぎ> 「ズートピア」ネタバレ無し感想レビュー

<いい大人がマジになりすぎ> 自分目線だけで言うと、このかわいい絵柄で普通に楽しめてなおかつ現代アメリカ社会の徹底した風刺・トレースをするなんて最高!という感じ。 だけど、ふとこれは4、5歳とかの子どもから観るアニメと考えると、子ども向けアニメ…

<ルベツキが映像の未来を見せてくれた>「レヴェナント 蘇りし者」ネタバレなし感想レビュー

朝夕のマジックアワーだけで撮影し、人馬が駆け抜けるのを180度舐めるように追いかけ、アメリカ大陸の雄大かつ恐ろしさすら感じる大自然を見事に切り取り、お得意の超長回しもカマす、エマニュエル・ルベツキの撮影が素晴らしかった!(と監督もね) ドローン…

"教会は何でもできる" 「スポットライト 世紀のスクープ」ネタバレ無し感想レビュー

言わずと知れたアカデミー賞作品賞受賞作。豪華俳優陣で一定のレベルを超えているし既に多く語られている褒めポイントには概ね同意だけど、べた褒めばかりもつまらないのであえての変化球。 神父による児童への性的暴行、教会上層部の隠蔽。冒頭、警察署のシ…

”健康が大切ということ” 「モヒカン故郷に帰る」ネタバレなし感想レビュー

監督の作品出演経験者ばかりの独りよがりの配役ではなく、きちんと人気俳優を配しての笑って泣けるドタバタホームドラマ。松田龍平、前田敦子、柄本明、もたいまさこ、千葉雄大、名前を挙げたくなるほどみんなよかった!プラス「横道世之介」の監督、この座…

「リリーのすべて」感想 "何を着ていようと、眠りの中で見る夢はリリーの夢よ"

最高だった。これが世界初の性別適合手術を受けた人の物語とか奇跡かよ。リリーの目覚めてしまうきっかけ、下着姿を見せた時の奔放な妻の最初の反応、彼女を書いた絵が思いがけず高反応で売れる、など「事実は小説より奇なり」と日記も残ってるだけあって実…

「ルーム」感想 <おしい、もったいない>

卵・チャーシュー・メンマと一通りのった普通程度の濃さのラーメンが食べられると思いきや、具材も少ないわりとあっさりめの塩ラーメンだった感じ、美味しさ自体は間違いないんだけど。予告初見時のインパクトからハードルが上がりに上がり切っていた上に、…

<3時間の黒木華プロモーションビデオ>「リップヴァンウィンクルの花嫁」ネタバレなし感想

評判よかったからかなり期待していたんだけど、前半のリアル路線と後半とのバランスが悪い上に、突っ込みどころ満載でまったく乗れず。「映画」としてはずっと退屈だった。ただ撮影のセンスと主演女優は素晴らしく、180分の映画としてではなく短編5分×36の「…

<魂で殴り合うように> 「ちはやふる 上の句」ネタバレなし感想

原作はさわりだけ読んだ。日テレの実写映画化っていいイメージないんで期待していなかったんだけど、評判通りちゃんと爽やかで瑞々しくも熱い青春部活ムービー、に相応しい納得の撮影・照明諸々のクオリティで、競技中のスーパースローモーションカメラも違…

「マネーショート」感想 <なるほど、わからん>

絶対に安全と言われたアメリカの住宅ローンの崩壊を見抜き「暴落するほう」に賭けた男たちの話。 噂通り冒頭から「スティーブ・ジョブズ」「ヘイトフル・エイト」に匹敵かそれ以上に(やや専門的な)セリフ、セリフの応酬で体調や予習が万全でないと置いていか…

"音楽家は楽器、私はオーケストラを指揮する"「スティーブ・ジョブズ(2015)」ネタバレなし感想

メジャー感の少なかったアシュトン・カッチャー版とは違い、ユニバーサルスタジオ配給、レジェンダリー・ピクチャーズ製作のマイケル・ファスベンダー版。ついにジョブズ自伝映画の「真打ち」が来るかと思いきや、こっちの方が相当トリッキーで、一見さんお…

「オデッセイ」感想 "科学の力で乗り越える!"

原題THE MARTIAN(火星の人)からけったいな邦題に変更、ゴールデングローブ賞の受賞(コメディ部門)でコメディって初めて知って、色々見くびっていたけど、そこはリドリー・スコット監督だけあってしっかり「ゼログラビティ」「インターステラー」に続くドラマ…

「サウルの息子」感想 <手汗の次は、目がどっと疲れる体感型映画>

期待してたんだけど、良くも悪くもユダヤ人(収容所)ものなので、ユダヤ人とその歴史的歩みにシンパシーを持てる人 か、そういうガチな光景を観るのが好きな人向け。 冒頭の人類史に残る蛮行と、それを観せるTPS視点、狭い画角・アスペクト比、浅い被写界深度…

「ザ・ウォーク」感想 <テロか、アートか>

どこのレビューも手汗、手汗ってナンボのもんじゃいと思っていたけれど、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキス監督作なら観ないわけに行かない。特に予備知識なく観たから、ワールド・トレード・センター戦でのワイヤー上の展開には「え…

「白鯨との闘い」感想 "地球は神からの預かりもの、望むようにしていいのだ"

クリス・ヘムズワースとロン・ハワード監督の「RUSH/プライドと友情」が好きだったので鑑賞。 捕鯨ネタって日本人的にはなんかノレないなーと思いながらも、中身は意外と何かと(神の名の下に)自己を正当化し、地球を我が物のように使う人間の傲慢さに警鐘を…

「ピンクとグレー」感想 "人が本当に分かり合えるなんてことはないんだよ"

原作者のNEWS加藤シゲアキ君はよく宇多丸師匠のタマフルに出ていて、しっかりとした映画ファンなのを知っていて、それでも「ジャニーズによる芸能界モノ小説が原作かー」と侮ってた。けど意外にも期待値を超えて、鑑賞後もズーンと後に残り色々考えてしまう…

映画「ブリッジ・オブ・スパイ」感想 <規則を守ることがアメリカ人の証である>

"誰であろうと公正な裁判を受ける権利がある。そして、憲法に忠実であることが、アメリカ人がアメリカ人たる根源である。規則を守ることがアメリカ人の証である" "冷戦下スパイ交換の顛末"という性格上、わかりやすい娯楽性は薄いけど、法廷劇、人間ドラマ、…

映画「母と暮らせば」感想 <戦中、戦後を知っている映画監督があと何人いるだろう>

評判がいいのと「小さいおうち」から再びの山田洋次監督&黒木華出演ということで観てきた。 まずこの超ベテラン監督が、お話の下敷きにサラッと「長崎、キリスト教、原爆」っていう誰しも言わないようにしてるネタをぶっこんできたのはすごいなと(笑)「日…

映画「クリード チャンプを継ぐ男」感想 <その名に誇りを持て>

ロッキーシリーズの大ファンという監督の作品だけあって「アポロの子がボクサーに、あのロッキーがトレーナーになる」というファンならシビれる設定が最高。完全にアップデートされた定番の「ランニングシーン」「ニワトリ追いかけトレーニング」など入れこ…

「リトルプリンス 星の王子さまと私」感想 "心で見た時に本当のことがわかる"

評判が良かったので鑑賞したけど大スクリーンで観ておいてよかった。(「インターステラー」の娘役の子が主演声優と知ってにわかに興味が湧いたのは内緒。) 小学生くらいの女の子の抑圧と成長、という方向性としては「インサイドヘッド」に近いものがあるけれ…

「黄金のアデーレ 名画の帰還」感想 “私たちを忘れず、幸せを取り戻して"

オーストリアが誇る名画家クリムトが自身の伯母を描き、のちにナチスに奪われた絵画を取り戻すため、60年後老女が政府を相手に裁判を起こす実話映画。 挿入される第二次世界大戦中の悲劇的描写とは裏腹に、現代パートのウイットに富んだ老主人公と新米弁護士…

映画「恋人たち」感想 <決して誠実ではない映画>

かなり評判が良かったので期待をして鑑賞。 うーん決してつまらないわけではないけれど、上手くはないよな。映画的に下手クソなところに目を瞑って観客側から歩み寄って「メッセージを拾いに行ってあげる」のはあまり好きじゃない。 そもそも世の中には「群…

映画「ピッチパーフェクト2」感想

“あなたはわたしの光、一緒なら夜も怖くない" 良心的で丁寧な音楽賛歌なのは変わらず、パワフルさも増していて満足。王者ベラーズをどん底に突き落としてからの、より巨大な敵、新たなメンバー加入、世界戦とプロットのインフレも堅実で感心。そしてライバル…

映画「エベレスト3D」感想

<保険会社の保障のギリギリまで、俳優はアシスタントなし、荷物も自力で運ぶ、実際にマイナス30度の高山でスタッフ共々、"命の危険"を感じながらの撮影> 上述の通りCGも極力使わず「本当に」命がけの撮影だったそうで、それならもうそれだけで満足。CGバリバ…

映画「マイ・インターン」感想

<想像通りの、楽しい二時間> 他の方も評価している通り、全体を通底するハッピーな雰囲気、ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイの演技とそのキャスティングの贅沢さ、脇役、子役もそれぞれ魅力的。想像通りの楽しい二時間を過ごせた。決してそれらの実現…