東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評/あらすじ]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

邦画

<あくまでアニメの文法でゴジラをやりましたレベル>GODZILLA 怪獣惑星 ネタバレなし感想レビュー

<あくまでアニゴジで、「アニメでゴジラ」の枠を出ていない。> 一昔前に比べて日本のセル風3DCGアニメの不自然さもだいぶなくなっているし、ポリゴン・ピクチュアズと組むのも最良のタイミングだった。樹木モチーフというゴジラの造形・圧倒的スケール感も申…

"深いね。深いでしょ。" 「海よりまだ深く」ネタバレなし感想レビュー

高い評判ほどには物語に乗れず。 「男ってやつはー!男ってやつはこういうところがダメなんだからな!!」と2時間ずっと真木よう子に往復ビンタを食らっているような気分だった。あの目線、彼女は演技関係なく、息子を迎えに来る羽目になったあの無神経なシ…

"幸せは空の上に" 「殿、利息でござる!」ネタバレなし感想レビュー

日本にもノブレスオブリージュ(富めるものの公共奉仕)があったんだ。 評判が良かったので鑑賞。「白ゆき姫殺人事件」「予告犯」の中村義洋監督なので期待して。(この流れで監督が時代劇やるのは意外だと思ったら、松竹発ではなく在仙台テレビ局の40周年記念…

<噂通りの森田剛独壇場>ヒメアノ~ル ネタバレなし感想レビュー

<>、そのハマリ役ぶりとタイトルバックのインパクトだけでも観る価値あり。ただイマイチ乗れなかったのは、ショッキングなシーン満載なだけにも見えてしまうこの作品をなぜ映画化したのかがぼんやりしていたから。森田がおかしくなったのは、単純にっていう…

<事件の真相より、社内政治ドラマが多めの前編> 「64ロクヨン 前編」ネタバレなし感想・レビュー

NHKドラマ化での評判の良さを聞いていた一作、これだけ豪華俳優で駄目ってことはないだろうとかなり期待して鑑賞。結果、観に行ってよかった!演技の素晴らしかった俳優は数えきれない!これは日本映画サスペンスの傑作の一つになるはず。かるた映画もいいけ…

<恋とは違うエモーション>「ちはやふる 下の句」ネタバレなし感想

「恋とは違うエモーション」と主題歌に書いた中田ヤスタカの言葉通り、友とともに恋とも仕事とも違う打算とはかけ離れたものに、情熱を持って打ち込める唯一の機会「青春時代」と「部活」っていう組み合わせに「競技かるた」というスポ根的な要素もあり手垢…

<邦画からのアンサー>「太陽」ネタバレなし感想レビュー

<邦画からのアンサー> 近未来、バイオテロによるウィルスが蔓延、人間社会がウィルス耐性を持つものと持たざるものの2つに分かれた世界の対立を描いた傑作舞台劇を映像化。 物語的にはサスペンスかと思ってたので、ドラマ重視の話の畳み方にやや肩透かし。…

”健康が大切ということ” 「モヒカン故郷に帰る」ネタバレなし感想レビュー

監督の作品出演経験者ばかりの独りよがりの配役ではなく、きちんと人気俳優を配しての笑って泣けるドタバタホームドラマ。松田龍平、前田敦子、柄本明、もたいまさこ、千葉雄大、名前を挙げたくなるほどみんなよかった!プラス「横道世之介」の監督、この座…

<3時間の黒木華プロモーションビデオ>「リップヴァンウィンクルの花嫁」ネタバレなし感想

評判よかったからかなり期待していたんだけど、前半のリアル路線と後半とのバランスが悪い上に、突っ込みどころ満載でまったく乗れず。「映画」としてはずっと退屈だった。ただ撮影のセンスと主演女優は素晴らしく、180分の映画としてではなく短編5分×36の「…

<魂で殴り合うように> 「ちはやふる 上の句」ネタバレなし感想

原作はさわりだけ読んだ。日テレの実写映画化っていいイメージないんで期待していなかったんだけど、評判通りちゃんと爽やかで瑞々しくも熱い青春部活ムービー、に相応しい納得の撮影・照明諸々のクオリティで、競技中のスーパースローモーションカメラも違…

「ピンクとグレー」感想 "人が本当に分かり合えるなんてことはないんだよ"

原作者のNEWS加藤シゲアキ君はよく宇多丸師匠のタマフルに出ていて、しっかりとした映画ファンなのを知っていて、それでも「ジャニーズによる芸能界モノ小説が原作かー」と侮ってた。けど意外にも期待値を超えて、鑑賞後もズーンと後に残り色々考えてしまう…

映画「母と暮らせば」感想 <戦中、戦後を知っている映画監督があと何人いるだろう>

評判がいいのと「小さいおうち」から再びの山田洋次監督&黒木華出演ということで観てきた。 まずこの超ベテラン監督が、お話の下敷きにサラッと「長崎、キリスト教、原爆」っていう誰しも言わないようにしてるネタをぶっこんできたのはすごいなと(笑)「日…

映画「恋人たち」感想 <決して誠実ではない映画>

かなり評判が良かったので期待をして鑑賞。 うーん決してつまらないわけではないけれど、上手くはないよな。映画的に下手クソなところに目を瞑って観客側から歩み寄って「メッセージを拾いに行ってあげる」のはあまり好きじゃない。 そもそも世の中には「群…

「悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46」感想 <娘を持つ親世代にこそ響くのでは>

某冠番組を毎週観ている程度の知識です。 最近では珍しくない「アイドルドキュメンタリー」今回 どういう切り口を提示するか心配だったけど、この映画は、アイドルグループの結成から現在までの歩みにメンバー母親の語り(娘への想い)を織り込むという「着想…

「WE ARE Perfume WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」感想 "Keep Climbing (今より上のさらに上へ向かって)"

新曲が出ればチェックする程度のライトファンだけど楽しめた、最高。 彼女たちが世界で戦う姿は、劇中に登場するデルタ航空の標語の通りだ。 有名歌手とはいえ、20代の女の子3人がひたむきに世界に挑む姿には不覚にも何度もウルっとしてしまった。ライブ面で…

映画「図書館戦争 THE LAST MISSION」感想

<シリーズファン向けにしても難あり> 前作は、「図書館を巡る攻防」っていう限定的舞台が邦画の予算規模にちょうど合っていたし、メディア規制、自衛隊など社会風刺をしながら大真面目にアクション、ラブコメ、現代ファンタジーをやりきったという点において…

映画「岸辺の旅」感想

評判よかったので鑑賞。 国内ロケでありながら品位のある映像、小松政夫さんをベッドに運んだシーンはじめセンスの良さ、細部の繊細さはわかるけど、どうしても中途半端なヒューマンドラマ、中途半端な奇譚話にしか思えず。 どこ行っても〇〇だらけ、あなた…

映画「バクマン。」感想

<週刊少年漫画誌の凄さと恐ろしさ> 原作未読、ただいわゆる黄金期には毎週ジャンプを読んでいた人です。 期待せずに観に行ったら小中学生から大人まで観る漫画原作映画というエクスキューズはありながら良かった。友情努力勝利を具現化した青春モノ映画と…

映画「心が叫びたがってるんだ」感想

"言葉は人を傷つける、口に出したらもう戻らない" と聞いて「うっ!」とならない人はいないはず。「言葉と青春」という着想が新しかった。 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」のスタッフ最新作と聞いて、あれは良い部分もあるけど「やり過ぎ」な部…

映画「日本のいちばん長い日(2015)」感想

<明治維新以来二度目の「奇跡のソフトランディング(無血開城)」はいかになされたか?> 東京大空襲、鈴木貫太郎内閣、原爆投下、聖断を受けて皆が息も絶え絶えで降伏と思いきや、必ずしもそんなことはなく、教科書にして数行の期間に超ギリギリ、爆発寸前のせ…

映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」感想 <制作陣の努力と気概は感じる>

原作はアニメ放送ぐらいの時に人に勧められて一通り読み、1巻では確かにテンション上がったけど、それ以降興味が薄れていった感じの人。 漫画原作の邦画というエクスキューズはあるけれど、評判を聞いてハードルは下がりきっていたので普通に楽しめた。群衆…

映画「バケモノの子」感想 <僕らがメジャーで観たかったのは中距離バッター松井秀喜ではない>

そういう感じ。事情は察するが無難すぎる。うーーん高い期待値からの高低差としてはけっこうかも。前三作はかなり好きな人です。 「細田ちゃーん次は小学生くらいの子がバーっと観に来るのヨロシク」というようなオーダーに”そのまま”答えちゃった感じか。で…

映画「きみはいい子」感想 <抱きしめられてどうだった?>

「そこのみにて光輝く」の呉美保監督ということで鑑賞。 うーーん"今、社会に伝えるべきこと"を扱っているからといって、観客に一時間半ガマンを強いるように「映画的完成度」が低くていいとは思わないんだよなあ。「いやでも現実にはもっと深刻なことが起き…

映画「海街diary」感想 <そして家族に>

後から原作は途中まで読んだ。あれがこうなるとは。マンガ原作を”トレース”しようとして失敗する映画が多い中、原作にあるコミカルさに引っぱられずに物語のエッセンスを捉えて是枝印にうまく"作り変えていた"のはさすが。 日本家屋を活かす薄味かつ上品な絵…

映画「予告犯」感想 <ただのネット炎上モノではない>

漫画原作というエクスキューズはあるけど、意外にもタイトな感じで予告のネット炎上がどうのというのを超えた「現在進行形の社会問題」や「無償の友情」というテーマがあって面白かった。まさか鑑賞後シンブンシを被った四人組がこんなに愛おしく見えるよう…

映画「あん」感想

「何者でもない私たちが生きる意味とは何か」 涙で銀座が沈んだ(©某フォロワーさん)。観たあとに、必ずどら焼きが食べたくなる上質な料理映画でありながら、人間ドラマもあり、日本独自の社会問題もしっかり描いている。闇を描くから光も際立つ。 まだインデ…