「ロスト・リバー」感想 <アメリカンドリームの潰えた街の悪夢、怪奇譚>
ライアン・ゴズリングはこんなこと考えてるのか…。妖しくて怖くて夢に出てきそうな世界観だけど心地よい。
ご存知「ドライヴ」「ブルーバレンタイン」のライアン・ゴズリング初監督作。初監督でありながら、今まで一緒に仕事をしてきたスタッフ、キャスト結集するという彼の俳優キャリアを生かした最も安全な策をとるスマートさが憎い。
「ドライヴ」を想起させる音楽、撮影ともに素晴らしいが、ロケ地に同じく自身の出演作の中で出会ったというデトロイトを選んだのが素晴らしい。フォードなどの自動車産業やモータウンで栄え、"アメリカンドリームの象徴"だった街。それも今や経済破綻し、家々は燃やされ、ストリートは破壊され、ギャングが蔓延る悪夢の街となってしまっている。が、この"最悪な街"がこの狂気じみたダークファンタジーに圧倒的なリアリティを与えていた。
お話は現実と幻想の境界が曖昧、非現実的な街が舞台で、登場人物に鼠(ラット)、なんとなく村上春樹っぽいなと思った。監督本人が「これはフェアリーテイルだ」と言っているから、テンポが緩慢で物語の原動力が弱いのはご愛嬌か。
パリに実在したというクラブで行われていた残酷ショー描写は、最高に気持ち悪くて、怖くて、フレッシュだった。よくR指定つかなかったな。
ライアン・ゴズリングのセンスが冴え渡る、この映画は夜中に観ることを強くおすすめします!
☆4.0
映画『ロスト・リバー』ライアン・ゴズリング監督インタビュー動画
CHROMATICS "YES" (Love Theme From Lost River)
メインテーマが印象的。最高。