映画「インサイドヘッド」感想
<ピクサースタジオ20周年記念作としては…>
監督の代表作「モンスターズ・インク」に続き、自身の子育て経験を基にした「思春期の少女と頭の中の5つの感情のキャラクターの物語」というアイデアの独自性、実際の心理学的考証に基づき脳内の感情や記憶の仕組みを分かりやすく可視化した取材力・創造力の高さ、誰もがニヤリと出来る記憶に関する小ネタやあるあるの面白さなどはもちろん素晴らしかった。
ただ全体のストーリーやアニメ的描写に自身の想像の上をいくような"ワンダー"は無く、ライリーと感情たちの絆を示すのに最適なライリー幼少期がわりとあっという間に終わるなど、全体的に駆け足感・描写不足感は否めない。特に終盤、もう一捻り現実のライリーと脳内世界とのリンクがほしかった。どうしても「思春期の少女と脳内の感情」というアイデア一発出落ちなところがあり、ピクサー20周年記念にふさわしい出来、と言い切るには疑問が残った。カナシミの存在する意味などテーマがやや大人向けな内容でもあり、ターゲットである子ども層が置いてきぼりになる懸念が大きいのもマイナス。類似ジャンルとしては"ワンダー"のあった「LEGO™ムービー」、「シュガーラッシュ」の方が上だと思う。
吹替で観たけど、竹内結子と大竹しのぶの演技はさすがだった。芸能人吹替でも金かければちゃんとできるんだよ。芸能人起用でもクオリティ重視を譲らないのはディズニーのいいところ。当たり前だけど。
今や名実ともに世界一のCGアニメーションスタジオとなり、「ヒックとドラゴン」の20世紀FOX、「怪盗グルー」のユニバーサルなど今や様々なライバルのいるピクサースタジオ、この程度では佳作と評するべき。
☆3.5