映画「心が叫びたがってるんだ」感想
"言葉は人を傷つける、口に出したらもう戻らない"
と聞いて「うっ!」とならない人はいないはず。「言葉と青春」という着想が新しかった。
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」のスタッフ最新作と聞いて、あれは良い部分もあるけど「やり過ぎ」な部分もあったので、今度はどうなるかと身構えて観ていたから、若干ノりきれなかったけど、たしかに数回ウルッときたからいい映画なんだろう。
演出とかストーリーに青春映画にありがちな「観ていて恥ずかしくなるところやわざとらしさ」が意外と無く、知らないうちに陰口を言われていたり、やる気があるやつをあざ笑ったりとかの思春期のモヤモヤと、ミュージカル準備から本番までのお祭りのような青春時代の煌めきと高揚感を上手く描いていて、自分の学生時代を思い出してグサグサきた。
アニメだから冒頭のあのキャラが「あぁ、そういうリアリティのアニメか」と観客側に荒唐無稽に見えなかった(重要)ので、ある仕掛けがうまく機能し、「アニメでやる必然性」もあったと思う。
個人的には「そりゃ喋れなくなるわ!」的な序盤の主人公への追い込みと、坂上くんの言葉で主人公の「呪い」が"やっぱりそうだったんだ"ってわかるシーンの畳み掛け、吉田羊演じる母親の苦悩がリアルでよかった。全体的にお話はベタなんだけど、ただラストのある外しの展開もベタでよかったような。
難点として、作画は「TVアニメ」だったら申し分ない美しさ繊細さなんだけど「劇場公開アニメ」なのだから引きの絵とか、もう少し頑張って常に「リッチな絵」が観たかったかなー。
商業的狙いから、不自然に人気女性声優ばかりズラッと並べてアイドルを目指すアニメではなく、こういう普遍的なテーマのアニメ映画が売れてほしいもの。
とくにグサグサくる青春映画が好きな方は、アニメだからと敬遠せずにぜひ。
☆4.0
「あの花」スタッフ最新作!『心が叫びたがってるんだ。』特報 - YouTube