映画「ナイトクローラー」感想
<法的にも道徳的にも報道者的にも問題大アリ、だが間違いなく傑作!>
"最も観たくない光景"を疑似体験できるのが映画の醍醐味と思っているので最高でした。
キービジュアルの「夜の街•スポーツカー」から「ドライヴ」みたいなオシャレな感じを想像していたら、糞みたいな主人公に共感も好感も持てないドロドロの作品で、映画を観に行ったはずが出口のない真っ暗闇の迷宮にズルズルと引きずり込まれたかのような体験だった。最高か。
主人公ルーは、ひょんな事から目的の為には手段を選ばない非道なパパラッチになる元コソ泥。でありながら、発する言葉はインテリジェンスとプロフェッショナリズムに満ちた、明日から仕事に使えそうな(笑)名文句ばかり。誰もが持っている武器、「言葉」を駆使して成り上がる姿には「英国王のスピーチ」のようにワクワクしながら応援したし爽快さすら覚えた。この対極的な組み合わせがキャラクターになんとも言えない魅力を生み出していて、「ジョーカー、シガー以来のダークヒーロー」という鑑賞前に見た評価にも超納得。
そしてキャスティングも最高で、現状この役には一度見たら忘れられない強烈な三白眼の持ち主ジェイクギレンホール、この人しかいない。「複製された男」「プリズナーズ」に続いて外さないな。キャッチーさのために若手女優や色恋要素に頼らない潔さもよかった。
まぁルーの行動に綻びがありすぎるという指摘があるけど、自分には実際の犯罪者はテレビや映画と違って、あんなもんでも捕まらずにのうのうと生き延びているんだろうなと逆にリアリティーと恐ろしさを感じた。
豊作揃いの今年の公開作のなかでも、歴史に残る最重要の「問題作」の一つなのは間違いない。ぜひ。
"…狂っている"
☆4.5
Nightcrawler Official Trailer #1 (2014) - Jake ...