東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評/あらすじ]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

「リトルプリンス 星の王子さまと私」感想 "心で見た時に本当のことがわかる"

評判が良かったので鑑賞したけど大スクリーンで観ておいてよかった。(「インターステラー」の娘役の子が主演声優と知ってにわかに興味が湧いたのは内緒。)

小学生くらいの女の子の抑圧と成長、という方向性としては「インサイドヘッド」に近いものがあるけれど、こっちの方が映像的にも物語的にも完全に”突き抜けた”シーン、"ワンダー"がしっかりあり、満足度が高かった。「心で見よ」というテーマ通り、(中盤以降は)本当に辻褄がどうとか考えるのが馬鹿らしくなって、つい夢中になってしまった。

お話そのものの品質の高さはもとより、メジャースタジオでなくとも3DCG表現はここまで来たかという美麗なグラフィックスを使った現代パートと和紙の人形を使ったという昔ながらの「ストップモーションアニメ」の星の王子さまの物語パートのどちらも美しく、その絶妙な融合が素晴らしかった。これは「現代アニメーション表現の一つの到達点」だと思う。

本編は、大人の凝り固まった心を王子さまが子どもの目線でときほぐす「星の王子さま」の物語構造が立場や人物を入れ替えてミルフィーユのように何重にも重なっていて味わい深さはあるんだけど、ただちょっと複雑で後半登場する大人の発言には何が何のメタファーなのかちょっとわからなくなってしまった部分も…。これは子どもが観ていてついていけるのだろうか…。

「ディズニー・ピクサー」へのカウンターとしてもチェックしておいたほうがいい一作、3DCGアニメの傑作がまた一つ誕生だ。

 

☆4.0