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東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にあらすじなし、ネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

「007スペクター」感想 <500系のスカイフォール、700系のスペクター>

007原体験は世代的にピアーズ・ブロスナンなんだけどその鈍重さに苦手意識が生まれていて…。諸々ブラッシュアップされているクレイグ版シリーズ、「スカイフォール」すらいまひとつノレなかった人なので、今回はなおさら。

 

うーん、今年「しがらみ」や「シリアスさ」の少ないあのスパイ映画とか、あのスパイ映画を観た後だと、一層長寿シリーズ故のしがらみに囚われてるのが透けて見えてきちゃったな。この歌舞伎や落語のような、展開がわかっていてもオマージュや過去のパフォーマンスと比較して観る「様式美」の鑑賞会のようになっているのが果たして映画として良いことなのだろうか?

 

ただ原点回帰的な作風の転換云々より、胃もたれするくらい要素を詰め込みすぎなのが問題だと思う。00部門の解体とボンドのアイデンティティを問うっていう主軸も前回やったような話だし。それでも撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマの本領発揮と言わんばかりのCG無しの大迫力「死者の日」パレードの、長回しアバンタイトルとか要所、要所で素晴らしいシークエンスがあるだけに残念。

 

過去作へのリスペクトを感じさせるローファイな映像と美術、衣装も悪くはないんだけど、(スペクターを観て改めてスカイフォールを観ると、)007シリーズは様々な理由で常にClassicalなものと切っても切り離せないのだから「映像」くらいはキレキレの解像度の<最先端>の方がバランスがいいなと思った。

 

まぁやっぱりストーリーもそうだね、過去作への目配せは程々に、常に007にはトレンドを追いかけて最先端を走っていてほしい。三歩進んだスカイフォールから二歩下がった感じは否めない。でも東海道新幹線でいうと最高速度を突き詰めた500系から、700系で従来からのデザインに回帰、速度より全体のバランスに重点をシフトしたみたいに悪いところばかりでもないんだけどなー。うーん堂々巡りになってしまうな、難しい。

 

☆3.0