映画「クリード チャンプを継ぐ男」感想 <その名に誇りを持て>
ロッキーシリーズの大ファンという監督の作品だけあって「アポロの子がボクサーに、あのロッキーがトレーナーになる」というファンならシビれる設定が最高。完全にアップデートされた定番の「ランニングシーン」「ニワトリ追いかけトレーニング」など入れこむべき要素も一通り入っていて素晴らしかった。
ただ詰め込みすぎて、お話が複雑になってしまっていたのが難点。「持たざる者の成功」「屈辱からの復活」というお話の構造自体はなぞっていたけど、ロッキーシリーズはラスボスはこいつと試合決定!練習!試合!終わり!ともっとシンプルに「一本道」じゃないと。直前に予習復習でシリーズを観直したので一層違和感を感じてしまった。
でもこのプロットだと、どうしても、ロッキーと「主人公が2人」になるし、ロッキーなら恋愛要素も捨てられないしと、片付けないといけない問題が多いために仕方ない部分もわかる。
あと偉大な父親の名前を引き受ける息子の話なのに、あのメイン曲を「堂々と」使わない腰が引けてる感じが残念、お前らが引き受けられてないのかよと。
個人的には試合中のカメラがけっこう選手に近い上にヌルヌル動いてかなり迫力があって、小さくないだろう機材でどうやって撮ってるのか不思議だった。
上述の理由で原作好きの監督による続編つながりでは、ビートに乗って軽やかにパッケージした「スターウォーズ フォースの覚醒」のJJエイブラムス監督の方に軍配が上がるかと思う。思いが強いのはわかるけど、真面目すぎたんだよ。
それでもあの超有名なシリーズの「主人公を若者に変えての続編(?)」はかなりの難易度だったろうし、そこには敬意を表して合格点をあげたい。失礼な話だけどシルベスタースタローンが元気なうちに次世代にバトンが渡せたのもよかったと思う。
今回は事実上の勝利、次回作が勝負。
"次はお前がチャンプだ、その名に誇りを持て"
☆4.0