東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評/あらすじ]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

「ピンクとグレー」感想 "人が本当に分かり合えるなんてことはないんだよ"

原作者のNEWS加藤シゲアキ君はよく宇多丸師匠のタマフルに出ていて、しっかりとした映画ファンなのを知っていて、それでも「ジャニーズによる芸能界モノ小説が原作かー」と侮ってた。けど意外にも期待値を超えて、鑑賞後もズーンと後に残り色々考えてしまう感じでなかなかよかった。

 
一応の個人的ツッコミどころは、引っ越しトラックを手を振り追いかけるようなコテコテの演出、いかにも邦画作品中の「ニセモノ感」のある芸能界シーンの映像・美術セット・脇役、不自然に出てくる実在企業名・商品、などなど。「あれ、行定勲監督ヘタクソになった?」と前半は心配したけど、後半のあの言葉から逆算するにあの辺は全部わざとのはず(笑)なので、基本ツッコミどころ無し!
 
ネタバレになるから詳しく書けないけど、物語の顛末をはじめ、蛍光に浮かび上がるアレを出したり邦画なのにけっこうアグレッシブなことをしていて、やや読めたけど中盤「物語がひっくり返る」感じを久々に楽しめたし、終盤提示されるテーマや終わり方も、邦画にありがちな甘っちょろい感じじゃなかったのもよかった。
 
そう菅田将暉柳楽優弥出演作に間違いはなかった!特に菅田将暉はやっぱりすごい。親しみやすさと軽薄さと怖さ、この役とこの演技は彼しか出来ない。あと実力派若手俳優に囲まれながらも、一見してわかる華のある立ち居振る舞いと納得の演技を見せたジャニーズ中島裕翔君もよかった。役者としてビシっと決めつつもちょっと心配になるくらいの「夏帆夏帆ぶり」に関しては昔からのファンの意見が聞きたいけど(笑) 前半部とのギャップを考えるとこれも「夏帆しかいない」役だった。
 
後半のテンポには疑問が残るも、邦画としては観て損はなし、観ておくべきレベルの映画。角川アスミックエース製作・ポニーキャニオン配給だから大手賞レースに絡んで話題になることもないだろうし、あやうくスルーするところだったので観れてよかった。