東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評/あらすじ]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

「ザ・ウォーク」感想 <テロか、アートか>

どこのレビューも手汗、手汗ってナンボのもんじゃいと思っていたけれど、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキス監督作なら観ないわけに行かない。特に予備知識なく観たから、ワールド・トレード・センター戦でのワイヤー上の展開には「え!えー?」と驚きの連続でいつのまにかに夢中に。気づいたら「本当に」手汗をかいていた…。

「絶対不可能だ、それでもやる。」お話的には純粋に夢を追いかける若者の物語であり、中盤は集団犯罪ものっぽくスリルがありテンポもいいし、ラストの警官とのやりとりは最高。しかし「世紀の芸術的クーデター」と彼が言うようにその夢が基本的に無害なだけで、当然ながら違法だし、入念な下見や内通者探し、ジョセフ・ゴードン=レヴィット演じる主人公の狂気じみた煮詰まり方など、見方を変えればその過程はテロリストのソレそのもの。舞台が舞台だけに、テロなのか、アートなのか考えてしまって「手放しには」楽しめず、ずっと不思議な緊張感を味わっていた。

そしてあの日あの時、世界貿易センタービルが狙われ、なぜああもアメリカで騒がれ、ショックを与えたのか、その一端が分かる終盤のセリフにニヤリ。「わかってるよな?」という感じで変に事件を説明・描写しなかったのがよかったけれど、(今後、)アルカイダによる911同時多発テロ事件を知らない人が観たとしてどうなんだろう。今は考えにくいけど、その辺の文脈がわかるかどうかで評価が分かれそう。

それでも体感型映画の良作なのは間違いなし、本当に映画館で観てよかった!申し訳ないけどテレビやPC画面じゃ意味ないなー。

 

☆3.5

 


町山智浩 映画「the walk ザ・ウォーク」たまむすび


THE WALK - Official Trailer [HD] - Oct 2015