東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評/あらすじ]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

「ヘイトフル・エイト」感想<映画好きとしては楽しめた>

評判が高かったので鑑賞。タランティーノ監督には明るくありません。

 

「パナヴィジョン70mmフィルム撮影」による冒頭、ワイオミング州の美しい雪景色を駆け抜ける馬車馬の勇姿(馬好き、カメラ好きとしてはずっと観ていたくなる)と、フィルム撮影に耐えうる最高のクオリティで密室劇の舞台、"ミニーの紳士服飾店"を作り上げた「種田陽平」による美術、巨匠「エンニオ・モリコーネ」による圧倒的迫力の劇伴と、それぞれの要素は最高だし、この組み合わせを実現したのは本当に素晴らしいこと。けどオープニングクレジットでそれらをこれみよがしに「明示」してしまったのはちょっと大人げないかなー。(絶対にシークレット的な立ち位置の”あの人"の名前まで出しちゃうんだもの…)

 

「映画好き」としては”眼福"的な上記の要素でお腹いっぱいにはなれたんだけど、クエンティン・タランティーノ監督にそんなに思い入れのない「一個人」としては、(既に言われている通り)冗長すぎる会話、会話、会話の連続と、交通整理のされていない支離滅裂気味の展開にはほとんどノレなかった。「会話劇」という言葉・ジャンルがある以上、あまり文句を言っても仕方ないけれどこの分量は限度があるだろ…。と思ったらやはり監督による脚本執筆なのか。自ら脚本を書く監督には客観的に「ここはバランスがおかしい」「絶対に2時間に納めろ」って言えるプロデューサーなりパートナーがいないとダメ。これは作品にとって非常に勿体無いし、不幸でしかないよ。

 

といいつつも、タランティーノ監督の「映画愛」の詰まったこの作品を(デジタル上映ながら)劇場の大スクリーンで観られてよかった。

 

☆3.0(普通)

 


『ヘイトフル・エイト』本予告

本編で使われてない曲を予告で使うのやめなよ。

 


The Hateful Eight OST (Full Soundtrack)

 

スタッフ
監督クエンティン・タランティーノ

製作リチャード・N・グラッドスタイン

ステイシー・シェア シャノン・マッキントッシュ

製作総指揮ボブ・ワインスタイン

キャスト

サミュエル・L・ジャクソン
カート・ラッセル
ジェニファー・ジェイソン・リー
ウォルトン・ゴギンズ
デミアン・ビチル
ティム・ロス
マイケル・マドセン
ブルース・ダーン
ジェームズ・パークス?
デイナ・グーリエ?
ゾーイ・ベル


原題 The Hateful Eight
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 ギャガ
上映時間 168分
映倫区分 R18+

受賞歴

第88回 アカデミー賞(2016年)
第73回 ゴールデングローブ賞(2016年)