"教会は何でもできる" 「スポットライト 世紀のスクープ」ネタバレ無し感想レビュー
言わずと知れたアカデミー賞作品賞受賞作。豪華俳優陣で一定のレベルを超えているし既に多く語られている褒めポイントには概ね同意だけど、べた褒めばかりもつまらないのであえての変化球。
神父による児童への性的暴行、教会上層部の隠蔽。冒頭、警察署のシーン数分でこれから語られることの根深さ、凶悪さをすべて説明したスマートな筆致とは裏腹に、以降は愚直に、どまんなかに、鈍重に、「スポットライト」チームの教会告発までの地道な取材の過程を描いていく。わかりやすい娯楽性、爽快感は皆無、アカデミー賞という「記録」は獲ったが「記録にも記憶にも残る傑作」かと言われると難しい。
マジメすぎるのだ。なので映画の評価もどまんなか3.5点どまり。もちろんスポットライトチームの功績への評価とは別です。
監督いわく、スポットライトチームの発表と努力を汚したくなかったからエンタメ要素を省き、ストレートに描いたとのことで、要は映画で彼らの真摯なジャーナリズム(新聞発表)を再現したかったんだろう。結果アカデミー賞を獲ったし、それはまぁ理解はできる。しかし色恋要素を入れろとは言わないけど、それでも脚本、編集、音楽、撮影とかでもっと娯楽性と両立する「記録にも、記憶にも残る一作」にするためにやれたことはあったんじゃないか、厳しいようだけど「この題材でマジメに作るだけならわりと誰でもできない?」と思ってしまった。
「社会に伝えるべきことを伝えるため」だからと映画が、飾り気のない「再現ビデオ」に徹してしまうことが映画として、正しいことなの?と。(本当、これ書いてる自分何様?って感じだけど…)
☆3.5