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東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にあらすじなし、ネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

"幸せは空の上に" 「殿、利息でござる!」ネタバレなし感想レビュー

ドラマ コメディ 邦画 実話ベース

日本にもノブレスオブリージュ(富めるものの公共奉仕)があったんだ。

評判が良かったので鑑賞。「白ゆき姫殺人事件」「予告犯」の中村義洋監督なので期待して。(この流れで監督が時代劇やるのは意外だと思ったら、松竹発ではなく在仙台テレビ局の40周年記念企画で、伊坂作品で仙台舞台の映画を多く撮っている中村監督に是非にとオファー、監督が松竹に持ち込みというのがおもしろい)

村の有力者たちが「直接のメリットもないのに」数億もの金を出し合い、窮乏気味の伊達の殿様に金を貸し、その「利息」で夜逃げが多発するほど村と村人の大きな負担になっている伝馬役の経費をまかない、村に活気を取り戻そうという実話ベースのお話。劇中解説はわりと丁寧かと。

資金集めのために有力者を一人一人説得し、ウルトラCの民から大名への金貸し実現のために打ち首覚悟で、役人も一人一人説得。絶対無理ゲーのこれが成功するか否か…。色々ありながらも、まぁ予想通りに○○はするんだけど、「創作」なら出来過ぎだよ!といくらでも文句が言えるんだけど、(多少の脚色がありながらも)これは「嘘みたいな本当の話」なんだから何も言えない。あっぱれ、当時の人の努力と情熱に感心、感心の連続。

阿部サダヲがメインの派手なポスターとは裏腹にコメディ感やお話のドライブ感も弱く「超高速!参勤交代」のようにどさくさ紛れのチャンバラもなく、映画的な盛り上がりには少し欠けたけど、この「無私、公共奉仕の精神」という骨太なテーマの、普遍性と現代性の圧倒的な高さの前には勝てない。だって現代が「こんなの当たり前だよね」と馬鹿にできるような 世の中では全然無いんだもの。本当にあの知事や議員に見せたい。

物語としては一本道だけど、山崎努の出ている数十秒の何気ない冒頭シーンが伏線になっていて、忘れた頃に回収される脚本の妙もきちんとあったし、裏テーマとしてもう一つ人間ドラマもあってよかった。あとやっぱり竹内結子は映画になると華があるなー、余裕を感じる肩の力の抜けた演技もよかった。そして殿様役と聞いていた、羽生結弦くんも話の流れ上「これはまさか…」と思った通り、チョイ役ではなく終盤のけっこう重要なシーンを担っていてびっくり、さすがの存在感だ。
 
「いい話」すぎて引くレベルである以外は申し分ない映画。日本人なら「スポットライト」や「マネーショート」よりこっち見とけ!!

 ☆4.0