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東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にあらすじなし、ネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

映画「日本のいちばん長い日(2015)」感想

<明治維新以来二度目の「奇跡のソフトランディング(無血開城)」はいかになされたか?>

 

東京大空襲鈴木貫太郎内閣、原爆投下、聖断を受けて皆が息も絶え絶えで降伏と思いきや、必ずしもそんなことはなく、教科書にして数行の期間に超ギリギリ、爆発寸前のせめぎあいがあったとは…。史実モノなので終盤のドラマチックさには限界があるというエクスキューズはありながらも、学校では教わらない展開に「え、(結末は知ってるけど)でもどうなるのこれ?どうなんの?」とハラハラしながら楽しめる「一級のサスペンス」だった。イデオロギー抜きにして。

 

狂信的なやつもいれば、マトモなやつもいる、冗談を言ったり笑ったりもする当時の等身大の政治家、軍人、そして昭和天皇をやっと正面から描けるようになったのかなという感じもある。旧作との違いでもある、昭和天皇の人柄の伝わる丁寧な描き方が際立っていた。またそれらを演じ、鍵となる役所広司山崎努本木雅弘はじめ濃厚な俳優陣の演技も素晴らしかった。男ばっかりのキャスト…と一瞬でも思ってごめんなさい。

 

しかし終戦に向けての閣議で政治家たちが聖断まで話し合っても話し合っても"決められない"、今さら引けるかと感情論で"止められない”、責任の所在が不明確なのをいいことにみな"無責任"と今も続く日本の典型的な「ダメな所」も徹底的に露呈していて身につまされる感じだった。

 

あと戦中とはいえエグゼクティブばかり出てくる映画にマッチして「衣装に品格があっていいなー」と思ってたら「駆け込み女と駆け出し男」と同じ人か。当時の色を再現するためにわざわざ生地を染めるところから作ったとのこと、敬服。

 

結果から見れば「軟着陸」だけど、一歩間違えば本土決戦もしくは、クーデター、内戦突入のギリギリのウルトラCだった。そりゃ世界の歴史から見ればそうなっても全然おかしくなかった。今日の平和と繁栄は本当に紙一重のものだったんだなと改めて。

 

"本土決戦となれば、桜はもう咲かないな。"

 

☆4.0

 


映画『日本のいちばん長い日』 特報 - YouTube