東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評/あらすじ]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

洋画

「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」サウスポー ネタバレなし感想レビュー

「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」みんな大好きボクシング映画、であるがゆえに賛否両論だったからどう着地するか心配だったけど「むむむ!」というポイントもありながら、きちんと終わったし以外とよかったよ!お話は主人公がチャンプとして栄…

<カギかけろ>「コップカー」ネタバレなし感想レビュー

家出少年二人に、パトカーを盗まれるコワモテ保安官の話。 パトカーを盗まれたのは完全に保安官の不注意。感想としては「カギかけろ、アホか」の一言で以降の展開に急速に興味を失い、自分の保安官への渋カッコいい度はゼロに。 当方、ケビン・ベーコンリテ…

「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」サウスポー ネタバレなし感想レビュー

「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」みんな大好きボクシング映画、であるがゆえに賛否両論だったからどう着地するか心配だったけど「むむむ!」というポイントもありながら、きちんと終わったし以外とよかったよ!お話は主人公がチャンプとして栄…

<ルベツキが映像の未来を見せてくれた>「レヴェナント 蘇りし者」ネタバレなし感想レビュー

朝夕のマジックアワーだけで撮影し、人馬が駆け抜けるのを180度舐めるように追いかけ、アメリカ大陸の雄大かつ恐ろしさすら感じる大自然を見事に切り取り、お得意の超長回しもカマす、エマニュエル・ルベツキの撮影が素晴らしかった!(と監督もね) ドローン…

"教会は何でもできる" 「スポットライト 世紀のスクープ」ネタバレ無し感想レビュー

言わずと知れたアカデミー賞作品賞受賞作。豪華俳優陣で一定のレベルを超えているし既に多く語られている褒めポイントには概ね同意だけど、べた褒めばかりもつまらないのであえての変化球。 神父による児童への性的暴行、教会上層部の隠蔽。冒頭、警察署のシ…

<まさに地獄巡り> 「ボーダーライン」ネタバレなし感想レビュー

「複製された男」「プリズナーズ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督と「007スカイフォール」のロジャー・ディーキンスの撮影で観ないわけにいかないので鑑賞。 いやーメキシコが中東のように移動時にシボレー防弾仕様の四駆で隊列組んで爆走しなければならないほ…

「リリーのすべて」感想 "何を着ていようと、眠りの中で見る夢はリリーの夢よ"

最高だった。これが世界初の性別適合手術を受けた人の物語とか奇跡かよ。リリーの目覚めてしまうきっかけ、下着姿を見せた時の奔放な妻の最初の反応、彼女を書いた絵が思いがけず高反応で売れる、など「事実は小説より奇なり」と日記も残ってるだけあって実…

「ルーム」感想 <おしい、もったいない>

卵・チャーシュー・メンマと一通りのった普通程度の濃さのラーメンが食べられると思いきや、具材も少ないわりとあっさりめの塩ラーメンだった感じ、美味しさ自体は間違いないんだけど。予告初見時のインパクトからハードルが上がりに上がり切っていた上に、…

"力は罪ではない"「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」ネタバレなし感想

映画では先行するMARVELシリーズのカウンターとして、少し大人向けの立ち位置を確立していたと思う。アメコミ映画でありながら軍人や政治家の出てくるリアル路線、宗教・神話モチーフの引用 、ぎっちり詰め込んだ情報量、ノージョークのどこまでもダークな世…

「アーロと少年」感想 <そもそもあなたはもうターゲットではないのかも?>

事前に評判を読んでいて、あまり期待せずに「頭を空っぽ」にして観たので自分は満足。これは"話がありきたりで…”とか、"人間が犬みたいに描かれていてちょっと…”とアタマで考えてしまう層はお呼びじゃないんだなと。 「現実よりも美しくなければ意味がない」…

「マネーショート」感想 <なるほど、わからん>

絶対に安全と言われたアメリカの住宅ローンの崩壊を見抜き「暴落するほう」に賭けた男たちの話。 噂通り冒頭から「スティーブ・ジョブズ」「ヘイトフル・エイト」に匹敵かそれ以上に(やや専門的な)セリフ、セリフの応酬で体調や予習が万全でないと置いていか…

「ヘイトフル・エイト」感想<映画好きとしては楽しめた>

評判が高かったので鑑賞。タランティーノ監督には明るくありません。 「パナヴィジョン70mmフィルム撮影」による冒頭、ワイオミング州の美しい雪景色を駆け抜ける馬車馬の勇姿(馬好き、カメラ好きとしてはずっと観ていたくなる)と、フィルム撮影に耐えうる最…

"音楽家は楽器、私はオーケストラを指揮する"「スティーブ・ジョブズ(2015)」ネタバレなし感想

メジャー感の少なかったアシュトン・カッチャー版とは違い、ユニバーサルスタジオ配給、レジェンダリー・ピクチャーズ製作のマイケル・ファスベンダー版。ついにジョブズ自伝映画の「真打ち」が来るかと思いきや、こっちの方が相当トリッキーで、一見さんお…

「キャロル」感想 <うつくしさとあざとさ>

同性愛云々は別にいいんだけど、みなさん美女同士なら不倫はいいんですかね? 「不倫っていっても、夫とはすでに調停中で離婚はほぼ避けられないのは確定、子どもとも別居中で子どもの生活に不都合があるわけではない」って、微妙に叩かれないラインで保険を…

「オデッセイ」感想 "科学の力で乗り越える!"

原題THE MARTIAN(火星の人)からけったいな邦題に変更、ゴールデングローブ賞の受賞(コメディ部門)でコメディって初めて知って、色々見くびっていたけど、そこはリドリー・スコット監督だけあってしっかり「ゼログラビティ」「インターステラー」に続くドラマ…

「サウルの息子」感想 <手汗の次は、目がどっと疲れる体感型映画>

期待してたんだけど、良くも悪くもユダヤ人(収容所)ものなので、ユダヤ人とその歴史的歩みにシンパシーを持てる人 か、そういうガチな光景を観るのが好きな人向け。 冒頭の人類史に残る蛮行と、それを観せるTPS視点、狭い画角・アスペクト比、浅い被写界深度…

「ザ・ウォーク」感想 <テロか、アートか>

どこのレビューも手汗、手汗ってナンボのもんじゃいと思っていたけれど、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキス監督作なら観ないわけに行かない。特に予備知識なく観たから、ワールド・トレード・センター戦でのワイヤー上の展開には「え…

「白鯨との闘い」感想 "地球は神からの預かりもの、望むようにしていいのだ"

クリス・ヘムズワースとロン・ハワード監督の「RUSH/プライドと友情」が好きだったので鑑賞。 捕鯨ネタって日本人的にはなんかノレないなーと思いながらも、中身は意外と何かと(神の名の下に)自己を正当化し、地球を我が物のように使う人間の傲慢さに警鐘を…

「イットフォローズ」感想 <指に中途半端なタトゥーをしちゃうような頭の軽い女の子に何か起きても何も感じない>

某所で激賞されてたからかなり期待してたけど、普通のホラー映画の域を出ない映画だった。 怖さだけの、特にドラマのないホラーは嫌いな人なので、事前情報でも出ている「アレをするとアレに追いかけられる」以上のことが見えてこなかったのは残念。モチーフ…

映画「ブリッジ・オブ・スパイ」感想 <規則を守ることがアメリカ人の証である>

"誰であろうと公正な裁判を受ける権利がある。そして、憲法に忠実であることが、アメリカ人がアメリカ人たる根源である。規則を守ることがアメリカ人の証である" "冷戦下スパイ交換の顛末"という性格上、わかりやすい娯楽性は薄いけど、法廷劇、人間ドラマ、…

映画「クリード チャンプを継ぐ男」感想 <その名に誇りを持て>

ロッキーシリーズの大ファンという監督の作品だけあって「アポロの子がボクサーに、あのロッキーがトレーナーになる」というファンならシビれる設定が最高。完全にアップデートされた定番の「ランニングシーン」「ニワトリ追いかけトレーニング」など入れこ…

「スターウォーズ フォースの覚醒」感想 <止まらない悲しみの業(カルマ)、この物語を続けるということはこういうことだった>

"歴史は繰り返さないが、韻を踏む" なんだ最高か。 上述の言葉のように、偉大な旧作のただの"繰り返し"もしくは"完全スルー"ではなく、一級のラッパーのように軽やかにリズムに乗りながら、絶妙なセンスで言葉を変えきちんと旧作にリスペクトを捧げて、物語…

「007スペクター」感想 <500系のスカイフォール、700系のスペクター>

007原体験は世代的にピアーズ・ブロスナンなんだけどその鈍重さに苦手意識が生まれていて…。諸々ブラッシュアップされているクレイグ版シリーズ、「スカイフォール」すらいまひとつノレなかった人なので、今回はなおさら。 うーん、今年「しがらみ」や「シリ…

「リトルプリンス 星の王子さまと私」感想 "心で見た時に本当のことがわかる"

評判が良かったので鑑賞したけど大スクリーンで観ておいてよかった。(「インターステラー」の娘役の子が主演声優と知ってにわかに興味が湧いたのは内緒。) 小学生くらいの女の子の抑圧と成長、という方向性としては「インサイドヘッド」に近いものがあるけれ…

「黄金のアデーレ 名画の帰還」感想 “私たちを忘れず、幸せを取り戻して"

オーストリアが誇る名画家クリムトが自身の伯母を描き、のちにナチスに奪われた絵画を取り戻すため、60年後老女が政府を相手に裁判を起こす実話映画。 挿入される第二次世界大戦中の悲劇的描写とは裏腹に、現代パートのウイットに富んだ老主人公と新米弁護士…

「コードネーム U.N.C.L.E.」感想 <このチームにまた会いたい!>

<このチームにまた会いたい!> 歴史好きなんで、東西冷戦下のアメリカとソ連のスパイがチームを組むっていう「ありえない」けど夢のある設定だけでテンション上がった。ありがちな凸凹コンビではなくて、どっちも超一流っていうのがよかったなー。 マジメに…

映画「バック・イン・タイム」感想 <バックトゥーザフューチャー30周年記念ドキュメンタリー>

<未来(フューチャー)とは> 劇場鑑賞じゃなくてNetflixで観たんだけど、2015年10月21日の盛り上がりとは裏腹に、このドキュメンタリーは全く話題になっていないので。 Kickstarterにて資金募集をしていたので素人クオリティなのでは、と若干心配だったけど、…

映画「ピッチパーフェクト2」感想

“あなたはわたしの光、一緒なら夜も怖くない" 良心的で丁寧な音楽賛歌なのは変わらず、パワフルさも増していて満足。王者ベラーズをどん底に突き落としてからの、より巨大な敵、新たなメンバー加入、世界戦とプロットのインフレも堅実で感心。そしてライバル…

映画「エベレスト3D」感想

<保険会社の保障のギリギリまで、俳優はアシスタントなし、荷物も自力で運ぶ、実際にマイナス30度の高山でスタッフ共々、"命の危険"を感じながらの撮影> 上述の通りCGも極力使わず「本当に」命がけの撮影だったそうで、それならもうそれだけで満足。CGバリバ…

映画「メイズランナー2」感想

<全力疾走すればそれでいいの?> 「メイズ(迷路)」を2回やれとは言わないけど、「タイトル」にも入れているくらいなんだから、そこは迷路要素の何らかの継承はすべきだった。 謎の空間に主人公と一緒に突然ぶち込まれる感覚を覚えるスピード感ある展開、「壁…