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東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にあらすじなし、ネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

<魂で殴り合うように> 「ちはやふる 上の句」ネタバレなし感想

原作はさわりだけ読んだ。日テレの実写映画化っていいイメージないんで期待していなかったんだけど、評判通りちゃんと爽やかで瑞々しくも熱い青春部活ムービー、に相応しい納得の撮影・照明諸々のクオリティで、競技中のスーパースローモーションカメラも違和感なく溶け込んでいたし、テレビ屋の作る映画の「チープさ」がなくて良かった。若手俳優陣の演技面も安定していたなーと思ったら、エンドロールの演技ワークショップの項目に「幕が上がる」の平田オリザの名前が、さすが!(幕が上がるの時は漫画版ちはやふるを参考にしていたそうで。)

 

千年の歴史を持つ古典が元でありながら、壮絶なかるたの取り合いの試合はまるで"拳ではなく魂で殴り合う"ような「競技かるた」(=超体育会系!)。というほとんどの人が知らない世界を取り上げる題材の妙、魅力的な脇役キャラクター・絶妙な恋愛模様の配置はさすがの「大人気コミック」が原作だけあるし、昨年「海街diary」「バケモノの子」ですでにカマしていた広瀬すずの演技の上手さは、俺たち映画ヘッズにとってはいまさら言うまでもなし。ただ前後編という構成のせいか、ところどころ「時間調整」を感じさせる「かったるさ」があり、テンポが緩慢なのは否めず。思い入れがある人には作品世界に浸れていいかもしれないけど。だから「前後編」という映画として歪なシステムは嫌いだ。

 

あとこの作品のオリジナリティって主人公でも競技かるたでもなく、「真島太一」なのかなって。9割いい奴なんだけど、1割くらい◯◯なこと。フィクションの二番手キャラにはなかなかいないこの複雑かつ微妙な割合が、観ている人の心を惹きつけるんじゃないかな。それに「恋仲」とかで少し悪役感のある野村周平がベストマッチなんだよ(笑)。ただそれに関係した幼い頃のある出来事が彼自身の「呪い」になっていて物語のキーにもなっているんだけど、呪いからの「解放」的なクライマックスと「アレ」を渡す順番が逆じゃね?負けてたらどうすんの?っていうので、「問題」がイマイチ解決していないのが(主人公との関係性に関わることなので)非常に引っかかった。この辺は後編でどうなるんだろう。

 

疾走感とビートの効いたPerfumeの主題歌と劇伴も今の時代の青春映画にあっていてよかった、「火花のように 」と絶妙な喩えで試合風景が浮かぶ歌詞をしっかり合わせてくるPerfumeプロデューサー・中田ヤスタカ氏、マジメだなー。(劇伴は別の人)

 

とはいえ「下の句」楽しみです。

 

☆4.0


「ちはやふる -上の句・下の句-」予告

 

スタッフ
監督小泉徳宏

原作末次由紀

脚本小泉徳宏

製作中山良夫市川南

広瀬すず/綾瀬千早
野村周平/真島太一
真剣佑/綿谷新
上白石萌音/大江奏
矢本悠馬/西田優征

製作年 2016年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 111分
映倫区分 G