東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評/あらすじ]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

<ルベツキが映像の未来を見せてくれた>「レヴェナント 蘇りし者」ネタバレなし感想レビュー

朝夕のマジックアワーだけで撮影し、人馬が駆け抜けるのを180度舐めるように追いかけ、アメリカ大陸の雄大かつ恐ろしさすら感じる大自然を見事に切り取り、お得意の超長回しもカマす、エマニュエル・ルベツキの撮影が素晴らしかった!(と監督もね)

 
ドローンが数世代進化して人間の周りを普通にグルグル飛べるようにならないと不可能な「構図」を人力で実現、現状人間にできる技を超えていることに感嘆、ため息の連続。さすがアカデミー賞スリータイムチャンピオン、映像の「未来」を見せてくれていた。いい意味で「スカイリム」みたいな最近の3DCGゲーム(超広いフィールド、現実離れした精緻かつ美麗なグラフィック、ゲームだからどんなアングル・構図も可能)を遊んでいるようにワクワクしながら楽しめた。
 
あと「ウルフ・オブ・ウォールストリート」につづいてまさか2作連続でレオナルド・ディカプリオによる決死のハイハイ(匍匐前進)が見られるとは思わなかった(笑)という冗談はさておき、もはやアカデミー賞主演男優賞を「力技」で持っていったような演技には圧巻でした。
 
個人的に良かったところは先住民側の持つ弓矢という武器の描写、「弓矢はどうやらすごいらしい」ということは以前から認識してはいたけど、銃を持ったアメリカ人側を時に圧倒するまでとは思わなかった。四方八方、カメラの周りをヒュンヒュンと弓が飛び交う冒頭の戦闘シーンが、視覚的に最も恐ろしく興奮した戦闘シーンだった。
 
そしてハイイログマとの戦い。CGとわかっていても、ひと思いに息の根を止められるでなく、なす術なく弄ばれるように攻撃される感じがリアル、これ一番痛いやつー!観てて痛い!
 
アメリカ人の先住民への贖罪意識とかいうテーマはどうぞ、ご勝手に。監督がメキシコ人で自国人じゃないんですけどいいんですかね。
 
あとグラスの回復力すごすぎじゃね?とは思ったけど、実話だし冬だからなんとかなったのかと納得、全体としては大満足でした。
 
☆4.0