東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評/あらすじ]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

「ルーム」感想 <おしい、もったいない>

卵・チャーシュー・メンマと一通りのった普通程度の濃さのラーメンが食べられると思いきや、具材も少ないわりとあっさりめの塩ラーメンだった感じ、美味しさ自体は間違いないんだけど。予告初見時のインパクトからハードルが上がりに上がり切っていた上に、数ヶ月待たされたからちょっと肩すかし。すぐ公開しないから…。

 

アカデミー賞主演女優賞も納得の、誘拐された母親役ブリー・ラーソンと「ルーム」で生まれ外界を知らない子役ジェイコブ・トレンブレイ君と「二つの壮絶な境遇」を演じきった二人の名俳優の素晴らしさ、五歳にして外の世界を初めて見る彼のまなざしとみずみずしい風景を完璧に切り取った、ダニー・コーエンによる撮影の美しさは言うまでもなし(「リリーのすべて」と同じ撮影監督だそうで)。そのリアルさに途中何度も映画であることを忘れてしまっていた。

 

ただエモーショナルな予告からのイメージのせいもあってか、ルーム脱出までとかテンポが少し緩慢に感じてしまって「で、脱出まだ?」ってなったし、(斬新な構成だから仕方ないけど)終盤まで物語をどうしたいのか今ひとつ着地点・方向性が見えず、さらに母親の物語なのか子どもの物語なのかはっきりしなかったのも自分的にはストレスで、正直親子愛云々まで入り込めず。

 

「ルーム」内でちゃんと運動をしているシーンがあったり、メディアの反応とかすごい綿密に取材して真面目に作られてるんだと思うんだけど、あまりのリアルさのつるべ打ちにお腹いっぱい…。実話ベースとはいえ映画ならばもう少し映像的に突き抜けるシーン、ポジティブさがほしかったなー。自分は「よつばと!」好きなもんで子どもの物語に振り切ってジャック君の心の機微と「リアルワールド」とのふれあいとかもっと観たかった。

 

気に入らなかったわけではなくて、満点の可能性があっただけにおしい、もったいない!という感じ。

 

☆4.0

 


映画『ルーム』予告編

監督レニー・アブラハムソン

製作エド・ギニー

デビッド・グロス
製作総指揮

アンドリュー・ロウ
エマ・ドナヒュー

ブリー・ラーソン/ジョイ
ジェイコブ・トレンブレイ/ジャック
ジョアン・アレン/ナンシー
ショーン・ブリジャース/オールド・ニック
ウィリアム・H・メイシー/ロバート

原題 Room
製作年 2015年
製作国 アイルランド・カナダ合作
配給 ギャガ
上映時間 118分
映倫区分 G

"力は罪ではない"「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」ネタバレなし感想

映画では先行するMARVELシリーズのカウンターとして、少し大人向けの立ち位置を確立していたと思う。アメコミ映画でありながら軍人や政治家の出てくるリアル路線、宗教・神話モチーフの引用 、ぎっちり詰め込んだ情報量、ノージョークのどこまでもダークな世界観、とMARVELの穴を相当研究してるなと感心。出来としては微妙だった「マン・オブ・スティール」を生かしながら確かに「確変」させたと思う。

 

評価の分岐の一つは前半に多い説明のない小ネタ・伏線的なものにストレスを感じるか、引き込まれるかの違いかもなーと。自分は謎が多いのは好きだし「マン・オブ・スティール」を予習していたのでわりとすんなり入れたというのもある。

 

最高だったのは、序盤の前作のスーパーマン対ゾッド将軍戦のブルース・ウェイン目線でのリピート。宇宙船のビルの切り方とか笑ってしまったし、市民目線の撮り方が上手くヒーローの世界を守る戦いも一般民衆にとっては災害でしかないというのを一緒に追体験できた気がした。

 

スーパーマンにさんざん助けておいてもらいながら、手のひらを返す地球人の恩知らずっぷりも実際にありえそうな話でよかった。「地球人を導け」という父親の言いつけをただひたすら守るスーパーマンが不憫でならなかったので、あのラストにもグッときてしまった。

 

そしてシンプルなロジックながら神、スーパーマンを跪かせたのはよかった。でも今後の強すぎるスーパーマンの扱いの難しさはシリーズの課題だろうな。あと設定と作劇の都合上仕方ないけど、単独作で強いシーンばかり見ていたバットマンがスーパーマンにボコられてただの人間っぷりをこれでもかと見せつけられたのはキツかったな。異星人・ミュータントが同居する世界観のシリーズが続く以上この流れは止められないのがなー。

 

まぁそもそもヒーロー同士が戦うとか無理があるわけで真面目に語りだしたらキリがないからアメコミ映画は話に乗れたら良し、乗れなかったら残念、だけでいいんじゃないかなー。まぁ乗れたし、絶対に失敗できない一作でよくがんばったと思

う。

 

☆4.0


「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」予告編


宇多丸「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」 ザック・スナイダー監督

監督ザック・スナイダー

製作チャールズ・ローベン
デボラ・スナイダー
製作総指揮クリストファー・ノーラン
エマ・トーマス

ベン・アフレック ブルース・ウェインバットマン
ヘンリー・カビル クラーク・ケント/スーパーマン
エイミー・アダムス ロイス・レイン
ジェシー・アイゼンバーグ レックス・ルーサー
ダイアン・レイン マーサ・ケント

原題 Batman v Superman: Dawn of Justice
製作年 2016年
製作国 アメリカ
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 152分
映倫区分 G

「アーロと少年」感想 <そもそもあなたはもうターゲットではないのかも?>

 

事前に評判を読んでいて、あまり期待せずに「頭を空っぽ」にして観たので自分は満足。これは"話がありきたりで…”とか、"人間が犬みたいに描かれていてちょっと…”とアタマで考えてしまう層はお呼びじゃないんだなと。

 

「現実よりも美しくなければ意味がない」というどうかしている意気込みのもとに作られた超絶写実的で美麗なCG背景とは裏腹に、(フックとなるフレッシュなシーンは数あれど、)ストーリーやキャラクターはこれでもかというほどにシンプル、直球でたしかに物足りなさがあり「レベル」を一つ下げてしまった感はある。

 

けれど自分にはこれは、(大人も観れる、やや高尚なCGアニメも増えている中)「われわれはあくまでも子どもたちがターゲットで、彼らに”ワンダー"を届けるのが目標なんですよ」という意思表示で、あえて「子供向け」に揺り戻しているのを強く感じた。マーベル映画ほどでないにしろ、高くなってしまったハードルからだんだんと複雑になりつつあったピクサースタジオ作品の「仕切り直し」の時なのかなと考えると納得。

 

これを観た後では、「蛇足でしかない」と感じていたジョン・ラセター監督自ら「トイ・ストーリー4の制作開始」っていう報にも合点が行く。あくまで「子どもたちのため」なんだろう。というわけでピクサーがいわゆる「子供向け」に振り切る路線はまだ続きそうな気がする。大人にとっては物足りないだろうし、子供向けだからといって「何よりもストーリーありき」と言っていたピクサーが「レベル」を一つ下げてしまうのは功罪あるだろうけど。

 

そんな考えに至ったのは新宿の劇場の夜の回でありながら、なんとか少ないながらも子ども客がいて、大人目線では前後の繋がりとか考えてしまうシーンも終始「キャッキャ」と子どもたちの笑い声が聞こえてきたこと。あとやっぱ「キッズムービー」は子どもに混じって観ないとダメだなーと自戒。

 

「子供向けに振り切ってる」と言いつつあれだけど、原題が親が子どもに掛ける言葉の決まり文句「GOOD DINOSAUR(=GOOD BOY=いい子ね)」なように、物語中の親恐竜たちの「親目線」、ピクサーのオタクアニメーターらも20年目で子どもの親になる人も増えてきたという「もう一つの親目線」の文脈も理解・感情移入できないとしっくりこないのかも。ただその辺は「インサイド・ヘッド」同様バランスが悪く、親側からの「親目線の押し売り感」は否めず上手くいってないように感じる。

 

あと個人的には超写実的な背景に、非現実的なキャラクターが違和感なくマッチしていることが何気にすごいなと思った。ライティングなのか、カラーリングの妙なのか技術的なことはわからないけど。この背景を見て今の子どもがどう感じるか訊いてみたいなー。

 

童心に返って、頭を空っぽにして観てください。

 

☆3.5

 


映画『アーロと少年』予告編

 

監督ピーター・ソーン

製作デニス・リーム

製作総指揮ジョン・ラセター
リー・アンクリッチ
アンドリュー・スタントン

キャスト(声の出演)
レイモンド・オチョア/アーロ
ジャック・ブライト/スポット
ジェフリー・ライト/アーロのパパ
フランシス・マクドーマンド/アーロのママ
マーカス・スクリブナー/バック

原題 The Good Dinosaur
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 ディズニー
上映時間 93分
映倫区分 G

「マネーショート」感想 <なるほど、わからん>

絶対に安全と言われたアメリカの住宅ローンの崩壊を見抜き「暴落するほう」に賭けた男たちの話。

 

噂通り冒頭から「スティーブ・ジョブズ」「ヘイトフル・エイト」に匹敵かそれ以上に(やや専門的な)セリフ、セリフの応酬で体調や予習が万全でないと置いていかれること必須。ただ馴染みのないジャンルにしがみつくように話を追うのはストレスでもあり、見応えもありで個人的には楽しめた。

 

たしかに都度ごとにビギナー向けの「ニヤリとできる演出での説明」はあるんだけど、それぞれものの十数秒で終わってしまう上に、MBSCDOCDSなど似ている略語が多く、どうしても難しい制度を少しわかりやすくした程度なので、漫然と説明を聞いても「なるほど、(でも)わからん」になりかねないから注意。より楽しむためには上記の3略語とサブプライムローンとはなんぞや、というところは事前に頭に入れておくのをおすすめ。

 

お話の中身はさすがアカデミー脚色賞受賞作だけあって、かなり濃密かつ決して派手ではない話を実力派俳優のキャスティングはじめ、4つの話をクロスさせて緩急をつけるなど様々な工夫で、「よくもまぁ娯楽作に仕立て上げたな」と終始感心しきりだった。

 

惜しむらくは当時のポップカルチャーとか製品イメージ映像の挿入が雑だったり、臨場感を出すためにブレのある手持ち撮影を多用したり素人っぽい演出・効果が目につく点。その辺はわざとなんだろうけど、ハリウッド映画なんでその分上述の制度の説明とかで、アニメーションやCGを使うなどビジュアル的にもっとリッチさや切れ味がほしかった。あとこのバブル崩壊の「破壊力」の描写も非アメリカ人からすると弱いような。

 

ネタバレにもならないけど彼らの「大逆転」は、途方もない数の人の「敗北」の裏返し。この問題の本質的、実感的に「わかる」ことは日本人には難しいかもしれないが「今、社会で起きていることにもっと厳しい目を向けろ」という監督のインタビューでの言葉は遠い国の人間である自分にも重く響いた、

 

お前は「食い物」にされていないか?と。

 

☆4.0(傑作)

 

machinaka.hatenablog.com

↑たいへんわかりやすい解説記事です。

 


町山智浩 映画「マネーショート 華麗なる大逆転」ブラピ出演 たまむすび


『マネー・ショート 華麗なる大逆転』予告編

 

スタッフ
監督アダム・マッケイ

製作ブラッド・ピット
デデ・ガードナー
ジェレミー・クライナー
アーノン・ミルチャン

原作 マイケル・ルイス
脚本 チャールズ・ランドルフ アダム・マッケイ
音楽 ニコラス・ブリテル
キャスト
クリスチャン・ベール/マイケル・バーリ
スティーブ・カレル/マーク・バウム
ライアン・ゴズリング/ジャレッド・ベネット
ブラッド・ピット/ベン・リカート

 

原題 The Big Short

製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 東和ピクチャーズ
上映時間 130分
映倫区分 G

あ、パンフレットは近年稀にみるほどダメダメでした。解説・コラム一本もなしとか見たこと無い!

 

「ヘイトフル・エイト」感想<映画好きとしては楽しめた>

評判が高かったので鑑賞。タランティーノ監督には明るくありません。

 

「パナヴィジョン70mmフィルム撮影」による冒頭、ワイオミング州の美しい雪景色を駆け抜ける馬車馬の勇姿(馬好き、カメラ好きとしてはずっと観ていたくなる)と、フィルム撮影に耐えうる最高のクオリティで密室劇の舞台、"ミニーの紳士服飾店"を作り上げた「種田陽平」による美術、巨匠「エンニオ・モリコーネ」による圧倒的迫力の劇伴と、それぞれの要素は最高だし、この組み合わせを実現したのは本当に素晴らしいこと。けどオープニングクレジットでそれらをこれみよがしに「明示」してしまったのはちょっと大人げないかなー。(絶対にシークレット的な立ち位置の”あの人"の名前まで出しちゃうんだもの…)

 

「映画好き」としては”眼福"的な上記の要素でお腹いっぱいにはなれたんだけど、クエンティン・タランティーノ監督にそんなに思い入れのない「一個人」としては、(既に言われている通り)冗長すぎる会話、会話、会話の連続と、交通整理のされていない支離滅裂気味の展開にはほとんどノレなかった。「会話劇」という言葉・ジャンルがある以上、あまり文句を言っても仕方ないけれどこの分量は限度があるだろ…。と思ったらやはり監督による脚本執筆なのか。自ら脚本を書く監督には客観的に「ここはバランスがおかしい」「絶対に2時間に納めろ」って言えるプロデューサーなりパートナーがいないとダメ。これは作品にとって非常に勿体無いし、不幸でしかないよ。

 

といいつつも、タランティーノ監督の「映画愛」の詰まったこの作品を(デジタル上映ながら)劇場の大スクリーンで観られてよかった。

 

☆3.0(普通)

 


『ヘイトフル・エイト』本予告

本編で使われてない曲を予告で使うのやめなよ。

 


The Hateful Eight OST (Full Soundtrack)

 

スタッフ
監督クエンティン・タランティーノ

製作リチャード・N・グラッドスタイン

ステイシー・シェア シャノン・マッキントッシュ

製作総指揮ボブ・ワインスタイン

キャスト

サミュエル・L・ジャクソン
カート・ラッセル
ジェニファー・ジェイソン・リー
ウォルトン・ゴギンズ
デミアン・ビチル
ティム・ロス
マイケル・マドセン
ブルース・ダーン
ジェームズ・パークス?
デイナ・グーリエ?
ゾーイ・ベル


原題 The Hateful Eight
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 ギャガ
上映時間 168分
映倫区分 R18+

受賞歴

第88回 アカデミー賞(2016年)
第73回 ゴールデングローブ賞(2016年)

 

"音楽家は楽器、私はオーケストラを指揮する"「スティーブ・ジョブズ(2015)」ネタバレなし感想

メジャー感の少なかったアシュトン・カッチャー版とは違い、ユニバーサルスタジオ配給、レジェンダリー・ピクチャーズ製作のマイケル・ファスベンダー版。ついにジョブズ自伝映画の「真打ち」が来るかと思いきや、こっちの方が相当トリッキーで、一見さんお断りの有名歌手没後の未発表音源集アルバムみたいだったのに驚き。

 

ファンからすると謎の多い「実娘」と「仕事上の妻」の関係を描くのかと唸る部分もあり、地力の高さは伺えるものの、分かりやすいキャッチーさは無いので万人受けしないし、完成度に疑問も残る。未発表音源だから、その人が生きていれば表に出ない部分なので、見てはいけないものを見てしまったチョンボ感も否めず。(その論法で行くと、アシュトン・カッチャー版はよくある諸事情で「みんなが知ってる曲の微妙に抜けた」ベストアルバムみたいな感じ。)

 

中身は彼の仕事よりも、最近多い「偉人の私生活が実はこうでしたモノ」ま、この人を題材に映画にしようとしたら作り手は「家族関係と人間性の破綻っぷり」に触れたくなるのはわかるけど、逆にそれもセオリー通りすぎ。この映画は実はこうでしたと修羅場、修羅場をドヤ顔気味につるべ打ちするばかりでエグさが強い。まぁ関係者に取材していけばこういう話も出てくるんだろうけどそこはやっぱりこの人を語る上でどうでもいいところだと思う。

 

にしても物語として「陰と陽のバランス」が悪い。舞台が製品の完成している発表会直前のみなので、ウォズニアックが例えた彼の「最高の指揮者(プロデューサー)」、宣伝コピーで言われてる所の「口先ひとつで世界を変えた男」(←この言い回しはクソ)、「神の交渉力の持ち主」としての一面がほとんど描写されていないのはフェアじゃない。(この辺はアシュトン・カッチャー版の方が作品として不完全ながらも上手かった。)

 

しかしながらエグすぎると書いた、時に考え方の違いから罵り嫌い合う戦友・関係者たちも、その人の才能や能力は認め、しかるべきタイミングでは顔を合わせ思い出話をする「大人の友人関係」っていうニュアンスを映像の中で残していたのは良かったと思う。ジョブズのウォズを守る言葉にグッと来た。

 

あと個人的には「神の交渉力」をもつ彼も、娘はうまく説き伏せられず凡人に成り下がり、なんとか気を引くために娘の好きな話題を振る姿がベタながらも、人間味があってかわいらしくニヤリとしてしまった。娘三人こそが助演女優賞だと思うけどなー。

 

ここまで一見さんお断りとは…とやや引きながらも、ストレス、ストレスの先の屋上でのラストエピソードがすごいよかったし、彼にとって象徴的な3つの発表会のそれぞれ直前40分に物語をすべて詰め込み「写真ではなく絵画のように仕上げた」という、劇作家出身アーロン・ソーキンのパワーとスピード感のある脚本の妙はさすがで、値引き材料はありながらも一見の価値はあり。

 

☆3.5

 


映画『スティーブ・ジョブズ』


iPhone発表スティーブジョブズプレゼン(日本語字幕付き)

今回は皆無だったけど、一番好きなプレゼン。


町山智浩 映画「スティーブ・ジョブズ」ダニー・ボイル監督 たまむすび

 

監督:ダニー・ボイル

製作:マーク・ゴードン、ガイモン・キャサディ、スコット・ルーディンダニー・ボイル、クリスチャン・コルソン
脚本:アーロン・ソーキン
原作:ウォルター・アイザックソン 『スティーブ・ジョブズ
撮影:アルウィン・H・カックラー
編集:エリオット・グレアム
音楽:ダニエル・ペンバートン

キャスト
マイケル・ファスベンダー/スティーブ・ジョブズ
ケイト・ウィンスレット/ジョアンナ・ホフマン
セス・ローゲン/スティーブ・ウォズニアック
ジェフ・ダニエルズ/ジョン・スカリー
マイケル・スタールバーグ/アンディ・ハーツフェルド

原題 Steve Jobs
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 東宝東和
上映時間 122分
映倫区分 G

受賞歴

第88回 アカデミー賞ノミネート(2016年)
第73回 ゴールデングローブ賞ノミネート(2016年)

 

「キャロル」感想 <うつくしさとあざとさ>

同性愛云々は別にいいんだけど、みなさん美女同士なら不倫はいいんですかね?

 

「不倫っていっても、夫とはすでに調停中で離婚はほぼ避けられないのは確定、子どもとも別居中で子どもの生活に不都合があるわけではない」って、微妙に叩かれないラインで保険をかけてる感じがあざといんだよなー。でもそれ不倫ですから!と思ってしまった。そこにテレーズと出会うってタイミングよすぎない?(まーフィクションで倫理的な良し悪し云々を言うと、じゃあ泥棒とか犯罪者が主人公の映画はどうなんだ?と言われたら何も言えないし、その辺ツッコむのも野暮なのは重々分かってるけど。)

 

"俺たちの"ルーニー・マーラーとケイト・ブランシェット"様"、メイン女優二人の競演、隅々までこだわりを感じる品のいい美術・衣装、フィルムの深みを生かした撮影の美しさはみなさんが書かれている通り、どれも一級品。

 

ただ物語的に乗れない所多数、多数。行き先を決めない旅行って何?逃避行?女学生かよ。あとあのスパイみたいなやつ。え、そういうリアリティなの?とずっこけてしまった。調停シーンでキャロルが泣いた後に切る「啖呵」も意味不明、圧倒的に立場が悪いのはどっちだよ。

 

あと(あえてのサラッとなんだろうけど)同性愛に関して二人と社会との衝突が、ほとんどなく「時代考証」としてこれでいいの?こんな程度と思われない?と逆に心配に思った。

 

最近、世間的な話題で不倫について考える機会が多かったため(笑)厳しめです。にしても評価高すぎない?

 

☆3.0

 


Carol 2015 - Extended Trailer

 


町山智浩 映画「キャロル Carol」 たまむすび


映画『キャロル』予告編 90秒ver

 

スタッフ
監督トッド・ヘインズ

製作エリザベス・カールセン
スティーブン・ウーリー
クリスティーン・ベイコン
製作総指揮テッサ・ロス

キャスト
ケイト・ブランシェット/キャロル・エアード
ルーニー・マーラ/テレーズ・ベリベット
サラ・ポールソン/アビー・ゲーハード
ジェイク・レイシー/リチャード・セムコ
カイル・チャンドラー/ハージ・エアード

 

原題 Carol

製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 ファントム・フィルム
上映時間 118分
映倫区分 PG12

受賞

第88回 アカデミー賞ノミネート(2016年)
第73回 ゴールデングローブ賞ノミネート(2016年)
第68回 カンヌ国際映画祭(2015年)