「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」サウスポー ネタバレなし感想レビュー
「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」
みんな大好きボクシング映画、であるがゆえに賛否両論だったからどう着地するか心配だったけど「むむむ!」というポイントもありながら、きちんと終わったし以外とよかったよ!
お話は主人公がチャンプとして栄光の頂点の日に、試合相手とのトラブルが原因で妻を亡くす。そしてライセンス停止、無収入に。妻に頼って大人として父親としても未熟なまま過ごしてきたがために娘とも引き離され、どん底に叩き落とされた男の再起の話。
基本的に想像の範疇のストーリーなんだけど、それでも突然家族を失った父と娘の再生のドラマには否が応でも熱くなるし、主人公が施設育ちで学がないが故に空回り、娘とのすれ違いが深まってしまい「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」と言われてしまうのには、子供も辛いだろうけど父親も辛いのもわかるから、グッとくるものがあった。からのー、最後の娘の言動には泣くよね、確実に泣くよね。
そして下敷きには、銃社会への警鐘・貧困による教育格差などアメリカが抱える問題、リング上の戦い以上のものが描かれていてたのはよかったと思う。これを観ると理屈で「アメリカはフロンティア精神の国だから銃所持は仕方ない」とは一概に言えなくなってしまうな。
もちろんベタのベタでも観ていられたのは、今もっとも出演動向が注目される男の一人、ジェイク・ギレンホールの役作り、レイチェルマクアダムスそして子役の女の子を含めた役者の魅力があったからこそ。この辺のキャスティングに妥協してたら一気につまらなくなってたと思う。
あえて抑えてたんだろうけど、クライマックスでのエモーショナルさはもう少し欲しかった。あと事件が錯綜してたのが伏線になってたのはよかったかな。
たしかに拙さはあるんだけど、みんなさーボクシング映画のことになるとマジになりすぎだよねー。その辺はボクシングを題材で映画やる以上はつきまとう宿命かね。(そこで競技かるたっすよ…)
☆4.0
ネタバレもう一言(下記反転)
最大の「むむむ!」ポイントは、ライセンス停止のグレーな処理の仕方、いやちゃんと停止明けるの待とうよ!あと試合中の娘の居場所!そこじゃないでしょ!そこだけはエモーショナルにしてほしかった。ドラマチックに一発KOではなく判定ってのはリアルだし、一瞬もしかしてここまできて審査員買収とかあんのか…と思わせるスリルが増してありだっ
たと思う。
Southpaw Trailer 2015(Jake Gyllenhaal&Rachel McAdams&Forest Whitaker)
<カギかけろ>「コップカー」ネタバレなし感想レビュー
家出少年二人に、パトカーを盗まれるコワモテ保安官の話。
パトカーを盗まれたのは完全に保安官の不注意。感想としては「カギかけろ、アホか」の一言で以降の展開に急速に興味を失い、自分の保安官への渋カッコいい度はゼロに。
当方、ケビン・ベーコンリテラシーが低いものですいません。ケビン・ベーコンを好きな人の感想を読むと、盗難以降に彼の醸しだす絶妙にシュールな空気、愛らしさをニヤニヤしながら観るべきものだったようで。自分が「真面目な話、もしくはサスペンス」だと思って挑んだのがまずかったみたい。
でも80'sっぽいギラギラしたオープニングクレジットのセンス、「家出少年と追いかける警官」というシンプルかつ無駄のない構成、80分台のタイトな尺、半分はいい加減で変な話なのに品のある撮影はよかった。あとあの小学生くらいの少年時代の機微、と言うと聞こえがいいが、男子のやりそうなしょーもない(自分に都合のいい)言動・行動・思考をとてもうまく再現、切り取っていたのに感心。演技とは思えなかった。脚本家は小学生か?(笑)
そう意外や意外、「ジュヴナイル映画度」がかなり高いのでおすすめです。
☆3.0
「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」サウスポー ネタバレなし感想レビュー
「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」
みんな大好きボクシング映画、であるがゆえに賛否両論だったからどう着地するか心配だったけど「むむむ!」というポイントもありながら、きちんと終わったし以外とよかったよ!
お話は主人公がチャンプとして栄光の頂点の日に、試合相手とのトラブルが原因で妻を亡くす。そしてライセンス停止、無収入に。妻に頼って大人として父親としても未熟なまま過ごしてきたがために娘とも引き離され、どん底に叩き落とされた男の再起の話。
基本的に想像の範疇のストーリーなんだけど、それでも突然家族を失った父と娘の再生のドラマには否が応でも熱くなるし、主人公が施設育ちで学がないが故に空回り、娘とのすれ違いが深まってしまい「ママじゃなくてパパが死ねばよかったのよ!」と言われてしまうのには、子供も辛いだろうけど父親も辛いのもわかるから、グッとくるものがあった。からのー、最後の娘の言動には泣くよね、確実に泣くよね。
そして下敷きには、銃社会への警鐘・貧困による教育格差などアメリカが抱える問題、リング上の戦い以上のものが描かれていてたのはよかったと思う。これを観ると理屈で「アメリカはフロンティア精神の国だから銃所持は仕方ない」とは一概に言えなくなってしまうな。
もちろんベタのベタでも観ていられたのは、今もっとも出演動向が注目される男の一人、ジェイク・ギレンホールの役作り、レイチェルマクアダムスそして子役の女の子を含めた役者の魅力があったからこそ。この辺のキャスティングに妥協してたら一気につまらなくなってたと思う。
あえて抑えてたんだろうけど、クライマックスでのエモーショナルさはもう少し欲しかった。あと事件が錯綜してたのが伏線になってたのはよかったかな。
たしかに拙さはあるんだけど、みんなさーボクシング映画のことになるとマジになりすぎだよねー。その辺はボクシングを題材で映画やる以上はつきまとう宿命かね。(そこで競技かるたっすよ…)
☆4.0
↓ネタバレもう一言(下記反転)
最大の「むむむ!」ポイントは、ライセンス停止のグレーな処理の仕方、いやちゃんと停止明けるの待とうよ!あと試合中の娘の居場所!そこじゃないでしょ!そこだけはエモーショナルにしてほしかった。ドラマチックに一発KOではなく判定ってのはリアルだし、一瞬もしかしてここまできて審査員買収とかあんのか…と思わせるスリルが増してありだっ
たと思う。
Southpaw Trailer 2015(Jake Gyllenhaal&Rachel McAdams&Forest Whitaker)
<ルベツキが映像の未来を見せてくれた>「レヴェナント 蘇りし者」ネタバレなし感想レビュー
朝夕のマジックアワーだけで撮影し、人馬が駆け抜けるのを180度舐めるように追いかけ、アメリカ大陸の雄大かつ恐ろしさすら感じる大自然を見事に切り取り、お得意の超長回しもカマす、エマニュエル・ルベツキの撮影が素晴らしかった!(と監督もね)
"教会は何でもできる" 「スポットライト 世紀のスクープ」ネタバレ無し感想レビュー
言わずと知れたアカデミー賞作品賞受賞作。豪華俳優陣で一定のレベルを超えているし既に多く語られている褒めポイントには概ね同意だけど、べた褒めばかりもつまらないのであえての変化球。
<まさに地獄巡り> 「ボーダーライン」ネタバレなし感想レビュー
「複製された男」「プリズナーズ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督と「007スカイフォール」のロジャー・ディーキンスの撮影で観ないわけにいかないので鑑賞。
いやーメキシコが中東のように移動時にシボレー防弾仕様の四駆で隊列組んで爆走しなければならないほどヤバイ所とは思わなかったしアメリカのちょい南だからって舐めてた、これメキシコ観変わるわ…。
誘拐事件突入捜査のスペシャリスト、エミリーブラント演じる女主人公がある事件をきっかけに、メキシコ麻薬カルテルソノラの捜査に参加することに。組織の見せしめであちこちに死体がぶら下がっているようなおぞましい街ファレスで、よくわからないうちに、よくわからないメンバーによるよくわからない超法規的捜査にズルズルと引きずり込まれる感じは地獄から地獄、まさに地獄巡り。ベタだけど何も知らない主人公と観客がシンクロして一緒に連れ回される感じはストレス、緊張、不快でしかないが、その臨場感が最高。自分はタバコ吸わないけど、彼女の禁煙破らないとやってられない感じ、わかる(笑)
ただ終盤の転換点以降は「あ、それ一人で行くの?そういう種類の映画なの?」と引いてしまった。実はこれはこの人の物語だったんだーー!!はさすがに無理ない?
☆3.0
町山智浩が映画『ボーダーライン』と『カルテル・ランド』を語る
4/9公開 映画『ボーダーライン』メイキング映像(ビジュアルデザイン)
監督ドゥニ・ビルヌーブ
製作ベイジル・イバニク
エドワード・L・マクドネル
モリー・スミス
サッド・ラッキンビル
トレント・ラッキンビル
製作総指揮ジョン・H・スターク
エリカ・リー
エレン・H・シュワルツ
脚本テイラー・シェリダン撮影ロジャー・ディーキンス美術パトリス・バーメット衣装レネー・エイプリル編集ジョー・ウォーカー音楽ヨハン・ヨハンソン音楽監修ジョナサン・ワトキンス
キャスト
エミリー・ブラント/ケイト・メイサー
ベニチオ・デル・トロ/アレハンドロ
ジョシュ・ブローリン/マット・グレイバー
ビクター・ガーバー/デイブ・ジェニングス
ジョン・バーン/サルテッド
ダニエル・カルーヤ/レジー・ウェイン
ジェフリー・ドノバン/スティーブ・フォーシング
原題 Sicario
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 KADOKAWA
上映時間 121分
映倫区分 R15
「リリーのすべて」感想 "何を着ていようと、眠りの中で見る夢はリリーの夢よ"
最高だった。これが世界初の性別適合手術を受けた人の物語とか奇跡かよ。リリーの目覚めてしまうきっかけ、下着姿を見せた時の奔放な妻の最初の反応、彼女を書いた絵が思いがけず高反応で売れる、など「事実は小説より奇なり」と日記も残ってるだけあって実話ならではの予定調和を無視した本当の「リアリティ」に結末を知っていても引き込まれた。
実話ベースということで「かったるさ」をある程度覚悟していたけど、意外にも序盤から「いきなりそこ行くんだ!?」という感じで、ポンポンとテンポが良かったのにも好感。ダラダラしがちの物語を誘惑に負けずにきっちり「2時間」に収めていたのが良かった。
主人公アイナーの精神病だの何だのと言われ命の危険を犯しながら「自分自身に正直であることを追求する姿」には、時代を超えて誰しも心打たれるはず。アイナー→リリーは最初の段階こそ少し心配だったが、それ以降は納得の出来。衣装さんのテクニックもあるだろうがこの人を演じられるのはエディ・レッドメインこの人しかいない。
主人公とは、最愛の人である前に、友人でもあり、同業の戦友でもあるゲルダ。「夫だった人に夫を奪われながらも、それを手助けする」という「献身的」という陳腐な言葉では言い表せないほど、複雑な感情を持って夫を支えた妻を演じたアリシア・ヴィキャンデルも素晴らしかった。斎藤工の言っていた「受け」の演技の大切さとはこういう事か。(特殊な事情から見た目上の変化があり自身を追い込める主人公役より、それを「受ける」周りの人間の演技こそ重要ということかな)
ちょっとまとまらないけど、マイナス要素もほとんどないので満点です。
☆5.0
町山智浩 映画「リリーのすべて」 トム・フーパー監督 たまむすび
監督トム・フーパー
製作ゲイル・マトラックス
アン・ハリソン
ティム・ビーバン
エリック・フェルナー
エディ・レッドメイン/リリー・エルベ
アリシア・ビカンダー/ゲルダ
ベン・ウィショー/ヘンリク
セバスチャン・コッホ/ヴァルネクロス
アンバー・ハード/ウラ
原題 The Danish Girl
製作年 2015年
製作国 イギリス
配給 東宝東和
上映時間 120分
映倫区分 R15+