東京映画帝国

”全映画は3つの部分に分かれる” 基本的にネタバレなし、映画館鑑賞作のみの感想[評価/批評/あらすじ]。適度な長さとわかりやすい言葉でのレビューとなることを心がけてます。(☆は最大5。3以上で傑作)

映画「黒衣の刺客」感想

"映画(現場)は撮影監督のもの" という言葉を思い出した。 潔いまでに説明なし、噂通りの難易度、相関図とあらすじをもっとよく見てから行くんだった(笑)でも、アバンタイトルで主人公の人物像とその後の使命は説明されてたので、そこから逆算していくとそん…

映画「ヴィンセントが教えてくれたこと」感想

<不良ジジイと少年の、予想を裏切らないハートフルコメディ> と聞いて「好物!ベタでも構わない!」となる人向け。 TLでの評判が高かったから観に行った。ジジイと少年のキャスティングとか、この「ジャンル」として必要な要件は色々満たしていて、良いとこ…

映画「キングスマン」感想

「"生まれの貧しさでは人生は決まらない" と言いたい。学ぶ意欲さえあれば変われるんだ。」「マイ・フェア・レディみたいに。」 「なんか最近、面白い映画とかないの?(ニヤニヤ)」 というたまにある知り合いからの雑なオーダーに、完璧にニヤニヤしながら答…

映画「ナイトクローラー」感想

<法的にも道徳的にも報道者的にも問題大アリ、だが間違いなく傑作!> "最も観たくない光景"を疑似体験できるのが映画の醍醐味と思っているので最高でした。 キービジュアルの「夜の街•スポーツカー」から「ドライヴ」みたいなオシャレな感じを想像していたら…

映画「日本のいちばん長い日(2015)」感想

<明治維新以来二度目の「奇跡のソフトランディング(無血開城)」はいかになされたか?> 東京大空襲、鈴木貫太郎内閣、原爆投下、聖断を受けて皆が息も絶え絶えで降伏と思いきや、必ずしもそんなことはなく、教科書にして数行の期間に超ギリギリ、爆発寸前のせ…

映画「共犯」感想

“動機がわからないのは、理解者がいなかった証拠だ" 「ミステリアスな美少女」の自死と、それを偶然発見した男子高校生たちが少女の死の真相を探る、どっかで聞いたようなダークな青春サスペンスだけど、冒頭からカマしてくる撮影・色彩の美しさ、音響のキレ…

映画「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」感想

<その存在自体がすでに前人未到> とはもちろん御年53歳になってもライフワークともいえる有名アクション大作シリーズを「アップデート」し続けるトムクルーズのこと。 冒頭のテーマ曲のスタート、トム登場の瞬間からテンション上がりっぱなしと聞いてたけど…

映画「ジュラシック・ワールド」感想

"最近の子どもは普通の恐竜くらいでは喜ばない" ジュラシックパーク直撃世代としては、前半のジュラシックワールド園内描写とクライマックスのバトルで「五億点」出てるし、一作目のオマージュ尽くしのサービス精神は素晴らしいし、(ネタバレ厳禁の)予想外の…

映画「ミニオンズ」感想 <ピクサーじゃないからと食わず嫌いせずに>

観てよかった、楽しかった! 劇場でよく見るかわいいミニオンから興味が湧いて最近シリーズを追いかけたクチだけど。今まで確信犯的に脇役だった正体不明の「ミニオン」がついにメインに。前二作で誰もが感じていたミニオンとそのかわいい動きを「もっともっ…

映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」感想 <制作陣の努力と気概は感じる>

原作はアニメ放送ぐらいの時に人に勧められて一通り読み、1巻では確かにテンション上がったけど、それ以降興味が薄れていった感じの人。 漫画原作の邦画というエクスキューズはあるけれど、評判を聞いてハードルは下がりきっていたので普通に楽しめた。群衆…

映画「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」感想

<エクセルシオール!(さらなる高みへ!)> …なんだ、最高か。わりとノレた方の人です。「開始からアクセル全開」とはこのこと。アベンジャーズならではのド派手なアクション、爽快感、明るさ、チーム萌え(キャラ同士のドラマ、連携技、パーティ、ジョーク) ”…

映画「インサイドヘッド」感想

<ピクサースタジオ20周年記念作としては…> 監督の代表作「モンスターズ・インク」に続き、自身の子育て経験を基にした「思春期の少女と頭の中の5つの感情のキャラクターの物語」というアイデアの独自性、実際の心理学的考証に基づき脳内の感情や記憶の仕組…

映画「バケモノの子」感想 <僕らがメジャーで観たかったのは中距離バッター松井秀喜ではない>

そういう感じ。事情は察するが無難すぎる。うーーん高い期待値からの高低差としてはけっこうかも。前三作はかなり好きな人です。 「細田ちゃーん次は小学生くらいの子がバーっと観に来るのヨロシク」というようなオーダーに”そのまま”答えちゃった感じか。で…

映画「きみはいい子」感想 <抱きしめられてどうだった?>

「そこのみにて光輝く」の呉美保監督ということで鑑賞。 うーーん"今、社会に伝えるべきこと"を扱っているからといって、観客に一時間半ガマンを強いるように「映画的完成度」が低くていいとは思わないんだよなあ。「いやでも現実にはもっと深刻なことが起き…

映画「ピッチパーフェクト」感想

<エンタメの国の青春部活ムービーが面白くないわけがない> アカペラ映画という事である程度のダサさを覚悟していたけどそんな事はなく、きちんと「マッシュアップ」とか現代的な要素がmixされていて、(デフォルメはあるだろうけど)アカペラ大会もテレビ番組…

映画「アリスのままで」感想 <"予告で筋書きが読めるような"映画がなぜ評価され、賞を受賞しているのか?>

それを確かめるために鑑賞。食傷気味の難病モノではあるけど実際にALS闘病中だった監督作だけあって一味違った。”症状のショッキングさなどで泣かせの安易な盛り上げをしない”、”三幕構成だとか物語的なセオリーを無視”、”親切にすべてを描写しない"というよ…

映画「トゥモローランド」感想

"センスオブワンダーにあふれていた。もっとトゥモローランドにいさせてくれ!" 「シンデレラ」につづいて、ユーモアや笑いもありながら嫌味なくほぼストレートにディズニーのテーマを伝えてる、「正しくまっとうに万人向け映画(子供に観せたい!映画)」だっ…

映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」感想

正直、ノレませんでした。 4DXにて鑑賞。今や子供向けアニメ、アメコミ実写映画でもしっかりしたものが多い中、キャラの描き込みとかお話の筋、背景説明、シーンの整合性をほぼ無視の「アクションのド派手さ」だけで押し切れる時代ではなくなっていると思う…

映画「海街diary」感想 <そして家族に>

後から原作は途中まで読んだ。あれがこうなるとは。マンガ原作を”トレース”しようとして失敗する映画が多い中、原作にあるコミカルさに引っぱられずに物語のエッセンスを捉えて是枝印にうまく"作り変えていた"のはさすが。 日本家屋を活かす薄味かつ上品な絵…

映画「予告犯」感想 <ただのネット炎上モノではない>

漫画原作というエクスキューズはあるけど、意外にもタイトな感じで予告のネット炎上がどうのというのを超えた「現在進行形の社会問題」や「無償の友情」というテーマがあって面白かった。まさか鑑賞後シンブンシを被った四人組がこんなに愛おしく見えるよう…

映画「国際市場で逢いましょう」感想

「たしかに発展はしたけれど、今おれ達はじーさんたちの世代のツケを払わされて酷い目にあってるんだ」 という劇中での「セルフツッコミ」がないから、観た後にそういうツッコミをしたくなる。2015年(韓国公開2014年)現在ツケを払わされ、問題が表面化してい…

「ロスト・リバー」感想 <アメリカンドリームの潰えた街の悪夢、怪奇譚>

ライアン・ゴズリングはこんなこと考えてるのか…。妖しくて怖くて夢に出てきそうな世界観だけど心地よい。 ご存知「ドライヴ」「ブルーバレンタイン」のライアン・ゴズリング初監督作。初監督でありながら、今まで一緒に仕事をしてきたスタッフ、キャスト結…

映画「あん」感想

「何者でもない私たちが生きる意味とは何か」 涙で銀座が沈んだ(©某フォロワーさん)。観たあとに、必ずどら焼きが食べたくなる上質な料理映画でありながら、人間ドラマもあり、日本独自の社会問題もしっかり描いている。闇を描くから光も際立つ。 まだインデ…

映画「メイズランナー」感想

<有機物と人工物のバランスが良い> TL上で評判がよかったので鑑賞。 主人公同様に"知らない場所に突然ぶち込まれた"感覚で始まるアバンタイトルがナイス。ツカミはバッチリで冒頭から入り込めた。 決定的におかしな点を抱えながらもある種の平穏を保ってい…